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バイクで日本一周してる女の子と仲良くなった話

1:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:34:55.31 ID:1cC3Eoi70
何年か前にバイク板の某スレに書いた話だけど、ヌクモリティに触れてるうちにここのみんなにも読んでもらいたくなったから立てた。

3:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:39:19.92 ID:DP/9YheF0
お盆休みにバイクで北海道をツーリングしていた時、同じくバイクで日本一周していたオニャノコと仲良くなった

リーマソの漏れは仕事の為すぐ地元に帰ったが別れ際に必ず会いに行くから必ず会いに来いよと約束して別れた

二ヶ月後約束は果たされ再会しもー燃え上がった燃え上がった( ̄ー ̄)
でもオニャノコは旅の途中だからと涙涙でお別れし、その時は敢えて何の約束もしなかった。

あれから何年前だか数えないとわからなくなるくらいの時間がたち、お互い別のパートナーと結婚して幸せにやっている。
今は年賀状のやりとり程度の付き合いだがお互い元気でバイクに乗れてて何よりだ

では以下kwsk行きます

4:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:42:42.72 ID:DP/9YheF0
当時は二人とも二十代半ば、ニセコのキャンプ場で隣どうしだったのがナレソメ


東北の地方都市出身在住、生産技術職。
見た目はエンセン井上にクマ髭。
175センチ75キロ。
バイクは同い年のシャベルローライダー

日本一周ムスメ
火の国の女、素朴な原沙知絵て感じ。
高校までバスケやってたそう、身長173センチ、太ってはいないがゴツイ。
旅に出る前は信金の窓口係だったらしいが、ストレスで自律神経失調になり辞めたそうな。
バイクは過積載のXR250バハ、女が乗ってるようにはとても見えん。

6:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:45:12.51 ID:DP/9YheF0
俺は夜中発のフェリーで朝五時頃函館に着き、日本海側を北上しながら何年かぶりのホカイドーに感動していた。
天気は快晴、言う事なし。海も山も底抜けに青い、行き交うライダーとピースを交す交す。
バイクはこの春手に入れた、念願のシャベルローライダー。
ちなみにフルストックだ、カスタムにはほとんど興味がない。
タンデムシートに防水バッグ、中身は最低限のキャンプ道具と下着の替え。
後は酒とツマミのカワキモノ、ツーリングマップル北海道。
弁慶やら親子クマーなどを冷やかしつつ、昼過ぎになったら眠くなってきたので寝床を探すことにした。
オンボロシャベルにあまり無理もさせられないしね。
何と無く辿り着いたキャンプ場には、連泊らしきファミキャンがひと張り居るくらい。
まあまだ午後三時前だからな、そのうち増えてくるでしょ。
受付を済まして荷物を降ろしていると、サイトの奥に小さいテントがあるのに気が付いた。
サイズからしてソロに違いない、恐らくはバイク乗り連泊者だろう。
少し考えて十メートルくらい離してテントを張り、近くの温泉で汗を流し缶ビールのプルタブをカシュンとね。
テントの中で横になっていると急に眠くなり、日が暮れる位まで一眠りする事にした。
二時間くらい寝ただろうか、起きると周りの様相が一変していた。
大小様々なテントが林立し、炊事場は順番まちしてるような状態だ。
ありゃー参ったなと思ってたら、最初からあった隣のテントの住人が帰ってきている事に気が付いた。
どうやら女性の様だ、スラリとした長身で、美人と言ってもいい位の外見だ。
しかも何だか逞しいぞ、トゥームレイダーに出てるあの人みたいだ。
目が合ったので取り合えず会釈をし、俺の方から歩み寄って挨拶をした。
誓って言うが、この時点で下心や期待みたいなモノは全く無い。
ソロキャンパー同士の仁義と言うかマクラと言うか、社交辞令みたいなもんだ。
でもこれが出会いだったんだよな、この時が二ヶ月後の別れまでの短い恋愛?の始まりだったのでした

8:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:51:39.04 ID:DP/9YheF0
とりあえず当たり障りの無い挨拶を交わす、お互いにスマイル0円で掴みはおkってな感じ。
向こうも旅なれた感じで、適度な距離感と旅人同士の親近感が絡み合って、いい出会いの予感がした。

俺『こんにちは、混んで来ましたね』

ララクロフト『そうですね、私はここ三泊目なんですけど、昨日あたりから急に増えてきて』

俺『お盆ですからね、まあこんなもんでしょ』

ララクロフト『トヨタ関係がいっせいに休みになったからかなって、今朝誰か言ってましたよ、どちらから来られたんですか?』

俺『俺?、昨日の夜うちを出て今ここで・・・みちのくから一人旅ってとこかな?ww』

ララクロフト『じゃあ名前は山本譲二さんですねww』

俺『俺演歌歌手かYO!まあいいよ譲二で。それであなたはどちらから?』

ララクロフト『じゃあ・・・当てて見てください、ヒントはね・・・あたしは冬美、坂本冬美かな?』

俺『坂本冬美って言ったら・・・火の国の女かな、じゃあ熊本?』

ララ『火の国の女、舐めたらいかんばいw』

~その後本名も名乗りあったが、ここからは譲二(俺)と冬美で行こうと思います~
ちょww舐めたらいかんばいってwww舐めるも何も会ってまだ十分wwwまあ空気読むとドラマか映画か、歌の文句なのだろう。
ノリのいい子なのでこのノリを壊したくない、控えめな大笑いで誤魔化した俺GJ

9:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:54:38.88 ID:DP/9YheF0
その後自然の流れで晩飯を一緒に食おうって事になり、二台で連れ立って麓の町まで一緒に買い物に出かけた。
ジンギスカンだよな、やっぱり。ここは北海道だし、こんな旅のハレの日はジンギスカンで決まりだ。
俺は革パンにダブルの革ジャン、半分腐ったエンジニアブーツ、金髪に近い茶髪ににクマー髭。どうみてもハレ珍です本当に(ry

それに対して冬美は靴はガエルネ、上下赤のFOX、
銀メッキバイザーのVFX-Rにトロイリーの火の玉?柄のステッカーキットがバッチリ似合っている。
バイクはXR250BAJA、女の子が乗るには大きすぎる気もしたが、長身の冬美はアンコ抜きなどもせずに堂々と跨っている。
実は俺もドジェベル200とシャベルローライダーの二刀流なのだ、なんとハレ珍に加えて鈴菌感染者です本当に(ry

さてその装備と立ち居振る舞いから、冬美のバイクに対する本気度がすぐ判った。

この女只モンじゃねえな・・・・・、なんちゅう男前だww、ますます興味が湧いてきた。

10:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:56:04.86 ID:DP/9YheF0
あ、最初にバイク板に書いたもんだから専門用語多くてあれだと思うけど、適当に脳内補完して理解ヨロわかんなかったら質問おなしゃす

11:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:57:29.49 ID:DP/9YheF0
旅ライダーなど珍しくも無い土地柄時候でも、ハレ珍男とFOXねーちゃんの組み合わせはナカナカ珍しいのであろう。
農協ストアの店内で、レジのねーちゃんや買い物おばちゃんがこっちをガン見しているw

冬美『私達、何か目立っているというか浮いているというかw』

俺『キニスンナwそれより腹減ったから早く帰って肉焼くぞ肉ニク!』

冬美『野菜もちゃんと食べないとダメですYO!、それと生ラムのタレは空知とベルどっちにしますか?』

俺『何じゃそれ?まあどっちでもおk、肉とビールさえあれば他は何でもいいお(^ω^)』

冬美『だから野菜もちゃんと食えと小一時間(ry』

買ったのは生ラムが五百グラム、350缶6パックのクラシック、キャベツがひと玉w、色々入ったカット野菜、ベルの生ラムのタレ。

サイトに帰ると俺と冬美のテントの間にテントが二つ増えている、はい2人とも明らかなハレ珍ですw
ハレ珍が3人とララクロフト似のFOXねーちゃん、当たり前のように四人で宴を催すことになりますたw
肉が足りないという事でハレ珍一号と二号が新たに買い出しに出かけ、帰ってきてジンギスカンが始まったのが八時過ぎ。

冬美持参の家庭用フライパンで肉を焼きまくって、とにかく喰う喰う、ビールガン呑み、あっという間にビールが無くなる。

12:譲二兄貴:2011/12/26(月) 07:58:44.14 ID:DP/9YheF0
ビールがなくなったが、もう補充の手段がない。
ここには売店も自販機もない、ここは俺の秘蔵の・・・まあそんなに大袈裟なもんではないが。
防水バッグから紙パックの芋焼酎を取り出し、皆の前にドンと置く。
ちなみに一升サイズの紙パックだ、黒霧島だかさつま白波だかだったと思う。
今ほど芋焼酎がメジャーでなかったからか、ハレ珍1号2号は怪訝な顔。
だが火の国の女は目を輝かせていた、やはり本場の人だからかね。

冬美『凄い!、これ頂いてもいいんですか!?』

俺『どーぞどーぞ、ご馳走しますよ』

冬美は大喜びだが他の二人はちょっと引き気味、あんまり酒が好きな方では無いみたいだ。
嫌がる人に酒を強要する趣味はないので、自然俺と冬美の呑み比べの様相を呈してきた。
うーんさすが火の国の女、男の中でもかなり強い部類に入るであろう俺相手に全く負けていない。
いや、酒ウェイトレシオでは俺が負けてるかも(´Д`)
あまり酒が得意でない1号2号は途中でダウンしたが、俺と冬美は一升の芋焼酎が全て無くなるまで呑み続けた。
馬鹿騒ぎするでも絡むでもなく、泣いたり怒ったりもしない。
あまり立ち入った話はしなかったが、八幡平がいいとか阿蘇が素晴らしいとか。
肉の脂でテカった顔で目を輝かせ、語る語る俺と冬美。
うーんいい酒だったな、今思うと最初にフラグが立ったのはこの時だったか。

13:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:00:28.22 ID:DP/9YheF0
気が付いたらキャンプ場は皆寝静まっていて、起きているのは俺と冬美だけ。

俺『おっともう十時半か、そろそろ歯磨いて寝るか~』

冬美『そうですね、今日は本当にご馳走様でした~、また明日~』

俺『おう、んじゃね~、さて流しに逝って歯磨き歯磨きっと、』

冬美『待って下さい~、あたしも行くから』

そう言ってゴソゴソとテントに歯ブラシを取りに入っていったのだが、五分経っても出てくる気配なしw
ついに潰れたかwやっぱりかなり酔ってるなー、でも入り口もちゃんと自分で閉めてるし、まあ大丈夫でしょ。
なるべく物音を立てない様に、フライパンやコッフェルを体でも食器でも洗える液体石鹸で洗い、水を切ってテントの前室に置いた。
こういうのは翌日に持ち越したくない性質なのだ、歯を磨いて脂でテカった顔も洗ってオヤスミナサイ・・・・・・。
朝七時頃起きたら1号2号がパッキングを始めていた、もうお別れだ、寂しいけど旅だしね、仕方ない仕方ない。
来春に東北で行われる某バイカーミィーティングでの再会を約束し、2人と携帯アドレスを交換して別れた。
(この2人とは今でも連絡を取り合って、あちこちのミーティングで酒を飲む仲だ、旅っていいね)

14:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:02:30.57 ID:DP/9YheF0
1号2号のサンダーヘッダー×2の爆音が遠ざかり、駐車場にはポツンと俺一人。
さーて、俺も出かけるかね、その前にコーヒー沸かして、と。
そんな事を思ってたら冬美が駐車場にやってきた、潰れていたわりには早起きだな・・・。

冬美『おはようございます、昨日は楽しかったですね、次は私がおごりますからね~』

俺『おーありがとう、でも俺これからすぐ移動するからよ、また縁が有ったら、な』

冬美『え・・・もう行くんですか?、そうですか・・・それでどこに?』

俺『おー、あんま時間も無いし、ボロバイクにあんま無理させたくないからな、奥尻にでも行って二、三日ノンビリしよかと思ってんだわ』

冬美『奥尻とはまた渋いですね、ハーレーなんだから道東とかの方が楽しそうなのになんでまた?』

俺『まあ、なんとなくね、じゃあ俺もう準備すっから、ここでお別れだな』

冬美『そうですか、じゃあ、気をつけて行ってくださいね・・・』

そういって小一時間でパッキングと朝飯を済ませ、サンダル履きの冬美に手を振って奥尻に向かった。
少し寂しい気もするけど、いつもの事だ、なんてこたーない、真っ直ぐ前を見てトップギアに入れて前に進むだけだ。
ズパ、ズパパン、ズパパパパパアアアアンン!(シャベルの音)、あ、しまった、アドレス交換してなかったorz
折角仲良くなれたのになあ、まあいいか、遅れそうになりつつもギリギリで何とか船に乗れた。
夕方には小高い岬のキャンプ場(無料)でテントを張り・・・・盆だっちゅーのに俺一人だったorz

15:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:08:09.12 ID:DP/9YheF0
奥尻最初の夜は一人キャンプだが、一人でもネイチャーストーブの火を見ながらウイスキー飲んだり。
まあ少し寂しいのはいなめないが、携帯もテレビも何もない夜もなかなか乙なもんだ。
自然と早寝して早起き、ゆっくり朝飯を食ってインスタントコーヒーをズルズルと飲む。
小一時間で一周できるくらいの島だが、あちこち見ながら半日かけてまわった。
トコブシ入りのシーフードカレーで昼飯を済まし、午後からは津波の記念館だか資料館だかを見学することにした。
一通り見学して、順路の最後にあった子供の作文を目を真っ赤にして見終わった後、再びローライダーに火を入れて走り出し、青い空と若干荒れ模様の海を見ながら当ても無く適当に走った。
気が付いたらフェリー乗り場にバイクを停めていた、情けない話だが人恋しくなって居たのだろう。
とにかく人がたくさん居る所に居たかった、見知らぬ他人しか居ないと分かっていても。丁度今日最後の船が着く時間だったのだろう、お盆時期の奥尻港はそれなりに賑わっていた。
道東だの函館だのの賑わいには比べられないが、バイクも何台か停まっているのが見える。

といっても三台くらいかwww、ヤマハのテネレと、カワサキ色のSSと、トンボみたいなライトのオフ車・・・・んんんんええええ!!!!?

あの過積載のバハは・・・いやまさかね、奥尻島の~奥尻港で~こんな場所に居るはずもないのに~www

16:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:10:08.01 ID:DP/9YheF0
桜木町だろうが何処だろうが居るはずもないのだが、どうやら冬美その人が居るようだ。
って言うか、奥尻逝くって有言実行してるから、当たり前といえば当たり前。
周りを見渡すと、土産物屋の店先で上下赤のFOXハケーン!
もう間違いないわ、とっくに俺の存在に気付いチラ見しているみたいだが、何故だか気付かないふりをしている様だ。
うーんどうすっかなー、こっちから行くべきか、来させるべきか・・・俺も冬美もアホかww、さっさと声掛けよっと。バイクを停めて最短距離で冬美に近づき、挙動不審なFOX女に声を掛けた。

俺『おう、奇遇だな、こんなとこで何してんだw』

冬美『あっれ譲二さん何でここにそういえば奥尻逝くって行ってましたね忘れてましたあたしも気が向いたんで来て見たんですけど』

俺『昨日の朝言ったこともう忘れんのかよw、まだ芋焼酎残ってんのか?www、それになんで一息に喋ってんだよwww』

冬美『あたし、べ、別に譲二さんが居るからって来たわけじゃないですYO!』

うっはwwwツンデレktkrwww

俺『まー何でもいーよ、今からキャンプ場探すのマンドクサだべ、俺がテント張ってる場所案内するから付いて来いよ』

冬美『わたしまだキャンプするって決めたわけじゃないですYO!、温泉が近くにある所じゃないとキャンプしたくないんです』

俺『温泉が近くにあるキャンプ場って、この島じゃ自動的に俺が居る場所しかねーんだよ、昨日観光案内所で聞いたから間違いないYO~』

冬美『そうなんですか!じゃあ仕方ないかな、・・・・付いていっていいですか』

俺『何だよその仕方ないって、人に物頼むときの心遣いに付いて小(ry』

冬美『・・・・・スミマセン、連れて行って下さい、おながいします。』

多少の脚色wwはあるが、こんな風に最初の再会を果たした俺と冬美。この時の俺、もう冬美に惚れかけてたな、間違いない。

17:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:11:49.58 ID:DP/9YheF0

俺『さてどうする、すぐ移動するか?それともどっか見ていくか?』

冬美『いやー、とりあえずテント張って、それから考えます』

俺『んじゃー行くか、場所は島の反対側だけど、真ん中あたり大体真っ直ぐ行ける道あるからそっちいくべ』

冬美『はい、んじゃ後ろ付いて行きますね~』

キャンプ場までの最短距離(だと思う)道を行き、出会ってから二回目の千鳥走行だ。
俺が路片側を走り、冬美がセンターライン側だった。付かず離れず、決して右ミラーの視界から外れる事はない。
やっぱり上手いな・・・、安心して前を走れる。以前からずっと一緒に走っているような気さえする、確か三十分もしない内にサイトに着いた。
小高い岬の上にテント10張り位で一杯になるくらいのサイトだが、洗面所もトイレも清潔で申し分ない、充分過ぎる位だ。
一番奥の海側に張った自分のテントの前で停車し、そのすぐ後ろに冬美が停まった。

俺が居ない間に札幌ナンバーの四人家族、自転車で来ている若いカップルのがそれぞれひと張りずつ増えていた。

冬美『ここですか~うわー海のすぐ側なんだ!眺めすっごくいいですね!』

俺『んじゃ好きな所にテント張って、それから温泉にでも行くか』

冬美『そうですね、どこに張ろうかな・・・・・』

と言いながら俺のテントの横辺りをガン見してる、曖昧に何かを訴えている冬美ワロスwww。
でも黙って見ているほうが面白いので、マドロス風に水平線を眺めるフリをしてすっとぼける俺。
三分ほど悩んだ末冬美は結局ちょっと離れた場所に、でも間にはもう別のテントが入れない位の微妙な近さにテントを設営した。

俺『さてちょっと早いけど温泉でも行くか、小奇麗だけど高いホテルと、建物は古いけど地元民向けの安いのとどっちにする?』

冬美『もちろん安い方、もー疲れたから観光は明日にしますよ』

俺『一瞬も考えないのなwwwだよなー、んじゃ行くか』

19:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:36:16.50 ID:DP/9YheF0
二台で遊歩道のような迷路のような道を下り、五分ほどで漁港の横にあるローカル御用達の温泉に着いた。
玄関の横に並べてバイクを停め、三十分後にバイクの前で落ち合うことにして温泉に浸かった。
ここは建物も風呂も綺麗ではないが、茶色でしょっぱい日本海側特有(だよな?)の泉質。
秋田や青森の海岸沿いの温泉とよく似た感じだ、不老不死とかあんな感じ(だったと思う)。
海流で繋がる海はもちろん、マクロに視ると陸も繋がっているのだなと感じながら浸かる。
きっかり二十五分後にバイクの前に戻り、五分間をストレッチにあてる。
風呂上りのストレッチは日課なのだ、やるとやらないとじゃ翌朝のキレがぜんぜん違う。
きっかり三十分で冬美はやってきた、湯上りの時間を守れる女は珍しい、やはり男前だwww

冬美『夕飯どうします?、どっかで買い物して行きたいんですけど』

俺『この辺に店らしい店は無いと思ったな、でも俺が買出ししてあるから大丈夫だYO』

冬美『えーでもまたご馳走になっちゃうのは悪いですよ、今度は私におごらせて貰いたいなあ。』

俺『じゃあビールだけ奢ってくれよ、今夜が道内最後の夜だからな、残った食材で大盤振る舞いだ』

冬美『え・・・、もう帰っちゃうんですか、でもまだほとんど何も見てないじゃないですか』

俺『いや、もう見たいモンは見たし、八幡平辺りにもゆっくり寄りたいから、明日の午後には函館から船に乗ろうと思ってんだわ』

冬美『そうですか・・・・、じゃあまた今夜でお別れかあ・・・』

2人とも言葉少なにバイクに跨り、ビールを調達してテントに戻る。
小一時間の間にもう一つテントが増えていた、どうやら俺らと同じバイク旅のようだ。

20:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:39:16.13 ID:DP/9YheF0
サイトに着いて、とりあえず黒ラベルロング缶をカシュンとね。

俺『カンパーイ!』

冬美『はーい、カンパーイ!』

さてと、晩飯の支度だな、あるのはエノキ1パック、ボイル済みホタテ六個、パスタ一袋200g、調味料各種。
少し考えてエノキ半分とホタテ2個をコンソメスープにして、残りをパスタの具にする事に決定。
まずは丸型飯盒に湯を沸かして、真っ二つにぶち折ったパスタを投入。
茹で上がったら適当に湯を切ってそのまま放置、フライパンにオリーブ油を少々、エノキとホタテを投入。
クレイジーソルトで下味をつけて、具に火が通ったらパスタをフライパンに投入、少々水っぽいがキニシナイ!
パスタと具を混ぜ合わせて主食は完成、飯盒に残りのエノキホタテと固形コンソメと水でスープ作成。
これで三十分弱ワンバーナークッキング終了、チビチビやってたロング缶が丁度1本無くなった。

冬美『ちょwwwなにその手際の良さwwww嫁にしてえwwww』

俺『嫁とか意味わかんねーよwww、まー一人暮らし長いからな、大雑把な料理は得意なんだよ』

冬美『一人暮らしなんですか?、アパートとか借りて?』

俺『いや俺田舎のでけー農家、しかも4世代10人同居の大家族で育ったからな、狭苦しいアパートなんてハナから無理』

冬美『10人とはまた凄いですね、あたし親子三人だったから憧れちゃうなー、じゃあ今はどんなとこに?』

俺『離農した農家をその辺のアパートより安い家賃で借りてるよ、農機具小屋をガレージにしてバイクとクルマ置いてな』

冬美『エー凄い裏山・・・・、あたしはマンションで育ったから・・・・・あーんうらやましい』

俺『冬とか雪寄せで大変だし、いい事ばかりじゃねえぞ。それから正確に言うと一人じゃねえな、ぬこが一匹住み着いてるww』

21:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:41:19.09 ID:DP/9YheF0
冬美『ふーん、ぬこって・・・・動物学的に言うところの、所謂イエネコの事ですよね?』

俺『他にどんなぬこがいるんってんだよ』

冬美『いやその、メタファーとしてのぬことか、かな・・・・と』

俺『なんだよそのメタファーって、高卒ハレ珍で機械屋の俺に分かる様に今北産業で説明汁』

冬美『いやその日本語で言うと暗喩って意味で、あなたが噛んだ小指が痛いとかそんな感じ』

俺『あーなるほどね、女ならいねーよ、ここ一年くらいでウチに入ったのは実の姉ちゃんとお袋だけ』

冬美『いやそんな女がいるかなんて聞いたわけじゃあのその私ぬこがいるなら会いに行きたいなとか思ってフジコ』

俺『何で急に点も丸も無くなるんだよwww来たいんなら来いよ、ぬこもオスぬこだから女っけはカケラもねーYO』

22:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:42:51.36 ID:DP/9YheF0
冬美『ええ!行っていいんですか、居座りますよ私www』

俺『居座るっておい、おまいはそんなに休みあるのか?』

冬美『あれ、言ってませんでしたっけ?私こないだ仕事辞めて日本一周中なんですよ、だから時間は余裕!』

俺『それは初耳だなwww、最初の晩はお国自慢しかしてなかったからな、そう言えばやけに荷物多いと思ってたわww』

冬美『でもまだ始まったばっかりなんですよ、ウチ出て最短で北海道来て、寒くなったら南下しようと思ってるんです』

俺『あーそうなのか、ならいつでも来ていいし、好きなだけいればいーよ』

冬美『九月一杯位は道内に居ようと思ってますから、十月の頭くらいに・・・・、いいですか、本当に行っても?』

俺『おk』

冬美『じゃあ約束ですよ、えっと・・・携帯と、家電の番号も教えてもらっていいですか?』

俺『おk』

そうこうしている内に料理は全て2人の胃袋に納まっていた、夕日の名残も無くなった頃、昨日セイコマで買ったフォアロゼをどんと置く。

何故かセイコマでフォアロゼだけ異常に安かったんだよwww、湯を沸かしてホットウィスキー?にして2人でガン呑み。

この日は俺が北東北の秋の素晴らしさを暑苦しく語り、身を乗り出して冬美が聞いていた、と思ったな、泥酔してたからイマイチ不正確。

俺『よし、んじゃあれだな、八幡平で待ち合わせすっか?』

冬美『あ、いいですねそれ!、分かりやすい場所に駐車場とかあるんですよね?』

俺『あることはあるけど確か有料なんだよな、アスピーテラインの一番高いとこから秋田側にちょっと下ったとこ、そこにも小さい駐車場あるからそこにするべ』

冬美『おk』

この日もボトルが全て無くなるまで飲み続け、冬美は今度もまた歯を磨き損ねた。

23:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:44:50.40 ID:DP/9YheF0
寝たのは十二時を回っていたが、六時半くらいには起きた。
サスガに頭の芯が重い、水道の水をがぶ飲みし、頭と顔に冷や水を掛けて自分に活を入れる。
日が暮れてから寝床を見つけるのは骨だ、夕方までには青森に着いていたい、あんまり時間が無いのだ。
頭を大雑把にタオルで拭き、キリキリ撤収を始めた。すると冬美のテントからガサゴソ音がし、じきに起きてきた。

冬美『おはようございます、もう撤収ですか、早いですね・・・・。』

俺『おう、日が暮れるまでには青森に上陸したいからな、またここでお別れだな』

冬美『そうですね・・・・、あ、あたしももう出ますから、すぐ撤収しますね、一緒に出ましょうよ!』

俺『おう、もたもたすんなよ、四十秒で支度しな!』

冬美『四十秒????、いくらなんでも無理ですってwww』

冬美はどうやらラピュタを見たことが無いようだ・・・・・orz

結局三十分くらいで2人とも支度は終わり、さてエンジンをかけようかという時。

冬美『譲二さんは港に直行するんですよね?、じゃあ下の道路に出たところで右と左か・・・・・』

俺『また少しお別れだな、事故にだけは気をつけてな、じゃあ八幡平でな!』

冬美『はい!、必ず行きますから、じゃあ八幡平で!』

下の道路に出て俺は左へ、冬美は右に。
停止線に並んで停まり、最後に目で笑い合って、ほぼ同時にクラッチを繋いだ。ハモっていたVツインとシングルが遠ざかり、もう俺の耳にはシャベルの音しか聞こえない。

134:名も無きひじき774号+:2011/12/27(火) 12:36:26.24 ID:G6OhvX3c0
所々詩的なのがまたいいね
俺もバイク乗りだが>>23ラストの描写とかほんと音も光景も浮かぶわ…

24:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:47:06.85 ID:DP/9YheF0
・・・・・・さて、帰りますかね。
奥尻から江差に行く一番の船に乗り、最短距離をひた走りに函館へ向かう。
昼過ぎ二番くらいの船には乗れたのだが、青森に着いた頃にはもうそこから動く気力が無くなっていた。
フェリー乗り場の建物の後ろ側に芝生があったので、そこでそのまま野宿する事にする。
一応気を使って塀際の目立たない場所にテントを張り、風呂にも入らず飯も食わず泥の様に眠った。やっぱり疲れていたのだろう、でも心地いい疲れだ。
翌朝は四時くらいに起きてしまったのだが、場所が場所なのでそそくさと撤収して出発した。
ここからウチまではボロシャベルで急げば半日くらいだが、世界で一番好きな八幡平にも寄って行きたい。
秋田側からアスピーテラインに上がり、冬美と再会するはずの駐車場で奥羽山脈の山々に見惚れた。
俺はこの駐車場から見る景色が大好きだ、ああやっぱりいいなあここ、何回来てもいいなあ。

寄り道しまくって昼寝などしながらも夕方ぐらいに家に無事着き、小屋にバイクを入れているとぬこがすっ飛んできたwww
居ない間は近所に住む姉ちゃんが毎日カリカリと水をあげに来てくれていたのだ、明日はとうきびチョコを持って礼を言いに行かねば。
虎の子並みにデカイぬこを抱き上げてもふもふしながらウチに入り、シャワーを浴びてビールを飲んだ。

ふー、いい旅だったな、今頃冬美はどうしてんだろなあ・・・・。・・・・ここで北海道編は終了、次回からは、ぬこと俺と冬美編

26:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:53:32.46 ID:DP/9YheF0
翌朝は朝もはようからエサねだりぬこパンチで強制的に起こされた、カリカリを景気よく補充して水を足してやってぬこ飯はおk。
さて自分の朝飯だなと考えてたら、ねえちゃんがママチャリでやって来た。

この姉が兄弟姉妹の一番上で俺は次男、女男男女の三番目だ。
十歳離れたこの姉ちゃんは俺にとって母親以上に母親だ、親達は農業で忙しく俺と妹の面倒の殆どをこの姉に丸投げしていたのだ。
見た目はちょっと所帯やつれして老けた小雪って感じだが、一度直接そう言ったら偉い剣幕で怒られたww

姉ちゃん『あれれ譲二?もう帰ってきてるの?』

俺『おうただいま、昨日の夕方無事にな。ぬこの面倒ありがとな~』

俺『ああそれでコレお土産、名物だぞ名物!』、と、とうきびチョコを手渡して言った。

姉ちゃん『・・・・これって北海道名物なの?、いつだかの正月に安比行ったときも有った様な期ガス』

俺『だって有ったんから仕方ねーべよ、道内で買ったんだぞ、本場だぞ本場』

姉ちゃん『まあいいよ、ありがと。それより朝ごはんまだでしょ、ウチに来て一緒に食べなさい』

俺『おーサンキュ、すぐ着替えていくわ』

俺んちから姉ちゃんちまでは家10軒分くらい離れていて、よく遊びに逝って甥っ子に遊ばれたりしている。
市街地と田んぼが隣り合っているような中途半端な場所だが、実家を出る時に姉が今の物件を紹介してくれた。
近所で夜逃げwwwした人の家が空いてるから、あんたアパート嫌なら入ったらどう?、と言われたのだ。
因みに大家は近所に住む夜逃げ家族の親戚だそうだ、遊ばせて痛むに任せておくよりは誰かに住んで欲しいとの事だった。
姉は十年前にここに嫁いできたのだが、旦那の祖父母~両親と相次いで他界し、今は親子3人暮らし。

夫婦揃って大家族育ちなので、親子だけの家と言うのがどうにもケツの座りが悪いらしい、近くに住む俺は何かにつけて呼ばれたりしていた。

旦那である義兄は市職員でステレオタイプの堅物だが、どうにも酒が好きな性質なので同じくノンベの俺とは結構仲がいい。

俺『ハーイお邪魔します、では早速いただきまーす、でも野菜ばっかりだな・・・・』

姉ちゃん『あんたほっとくと米と肉と酒しか口に入れないでしょ、野菜もちゃんと食べなきゃだめよ』

俺『女って何でこう男に野菜ばっか喰わせたがるんだ?、菜っ葉ばっか食ってちゃ力なんて出ねーYO』

姉ちゃん『だからバランスでしょバランス!、ウチでくらいたっぷり食べていきなさい!』

とまあこんな感じで毎日が過ぎていっていた訳だがwww、当時は週に三回くらい姉ちゃんのとこで飯食ってたな。
それは冬美がいた半月間ほどの間も変わらなかった、姉ちゃんは今でも俺と2人になると冬美の事を話題にすることがある。

27:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:55:24.38 ID:DP/9YheF0
北海道から帰ってきて以来冬美からは、週に一回くらいのペースで電話がかかって来ていた。
まだ秋なのに九州の冬より寒いとか、そんな他愛も無い話しかしなかったが。
そんな九月下旬のある日冬美から、来週の日曜日に八幡平の例の場所で待ち合わせおk?という電話が来た、もちろんおkだと返事をし、ついにこの家に冬美がやってくることになった。・・・・・

今でも思い出すとぞっとするのだが、冬美からの電話が来た翌日、俺は仕事で大変なミスをやらかした。

俺の仕事は工場の生産設備の保守を行う生産技術関連、まあエンジニアの端くれの端くれだ。
俺の単純なミスで設備の根幹に関わる大事な部品を壊してしまったのだ、最悪な事にこれまた俺の発注ミスで予備の部品も無い。
規格に無い特注品なのでメーカーにも在庫はなし、これから発注しても届くのは最短で一ヵ月後。
でも何とかしなければ向こう一ヶ月間ラインが完全に停止してしまう、が、東奔西走の結果、関東の系列会社に部品があることが分かった。
誠心誠意頭を下げて部品を廻して貰い、ラインが復旧したのはトラブル発生から四日後の事。
だが一体どれだけの人達に迷惑をかけ、どれだけの損害を受けたのだろう、顧客からの信頼をどれだけ失ったのだろう。・・・・

考えた末にすっぱりと頭を丸め、クマー髭も全て綺麗に落とした。

あーそういえば冬美はもう今週来るんだよな・・・・、この頭見てどう思うだろorz鏡に映った顔は・・・・、どう見ても受刑者です、本当に(ry

28:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:57:38.78 ID:DP/9YheF0
さて冬美と待ち合わせの日の朝だ、秋晴れのいい天気だが、放射冷却の寒さが五厘坊主のもろ肌に染みる染みるwww
ローライダーはイマイチ機嫌が悪そうなので、今日はドジェベル200で出かける事にした。・・・・・

折角だから、バッチリ決めていくかなwww驚くだろな冬美wwwハレ珍が来るとばっかり思ってるだろうしwww

ヘルメットは黒のVFX-R、冬美と同じモデルだが俺のはバイザーも真っ黒だ、プロテクターJKTもばっちり着込む。グローブ、ジャージ、モトパン、この三つは全てSHIFTだ、・・・・・

セスエンスローが好きなんだよwww

ちなみにウチのぬこの名前はセスエンスローjrだwww、まあ俺を含めた誰もが『ぬこ』としか呼ばないのだがww

ここから八幡平山頂までは4時間くらい、200ccシングルでとことこ、と向かう。
国道からアスピーテラインへ、かなり有名らしい秘湯の前を過ぎて視界が開ければもうすぐに待ち合わせの駐車場だ。
・・・・約束の時間より三十分も前だったが、居た、過積載のバハの隣に大柄な女、背中まで位の黒い髪。

ああ間違いない、冬美だ・・・・

本当にまた会えた・・・・

ゆっくりと冬美の横にバイクを停めた。

まだ俺だと全く気付いていないみたいだ、さーて、どうやって脅かしてやるべかwwww

29:譲二兄貴:2011/12/26(月) 08:59:02.57 ID:DP/9YheF0
横に停めてゆっくりバイクから下り、ヘルメットを脱いで冬美の方に向き直った。
天気はいいがここは吹きさらし、少し強めの風に髪の毛がなびいているのを見て少しときめいいたwww
んん?、この一月ちょいでで少し痩せたみたいだな、まあダラダラしないで本気で旅すると誰でも痩せるもんだからな。
森吉山の辺りに視線を向けていた冬美がゆっくりこっちに目を向け、・・・すぐに俺だと気付いたようだ、顔中を目と歯にして笑う冬美。

冬美『こんにちは譲二さん、秋の北海道寒杉でwwちょっと早いけど来ちゃいましたwww』

俺『何にも驚かねーのかよww、乗ってきたバイクとか頭とか小一時間(ryな事色々あるだろーがww』

冬美『あーその事、バイクの事はオフ車も乗ってるって最初の晩に言ってたでしょ?』

俺『そだっけか、ずっと呑みまくってたから、言ったか言わなかったかも覚えてねえ』

冬美『頭は・・・・男の人がいきなり坊主にする理由って・・・ねえ、それをいきなり聞くほど馬鹿な女じゃないですってww』

俺『なるほどね、納得、今日のつかみはお前の方が上手だなwww、一ヶ月でかなりもまれて来たな?』

冬美『ありましたよー色々、楽しさ五割、辛さ三割、ムカつくのも二割くらいww』

俺『そーか、まあ後でゆっくり聞かしてもらおうかな、とりあえず乾杯だ、熱いコーヒー持ってきてるからカップ出して』

冬美『おお!何と言う準備のよさwww、今出しますからちょっと待って下さい!』

サイドバッグからコールマンのステンレスマグを取り出すのを待って、愛用のテルモスの蓋を開ける。
冬美の分を先に注いでから、自分の分は容器の蓋に注いで駐車場の柵に並んで寄りかかった。

俺『お久しぶり、ようこそいらっしゃいました、てことで乾杯!』

冬美『来ちゃいましたww、って事で、かんぱーい!』

30:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:01:01.52 ID:DP/9YheF0
乾杯のあと二人でずるずるとコーヒーをすすり、ぽつぽつと話しながら奥羽山脈の山々を眺めた。
俺『さて、とりあえず昼飯にしねーか?、秋田側にはしばらく何もねーから、松尾側に降りて何か食うべ』

冬美『そうですね、もう昼ですもんねぇ、来た道帰るのはつまんないですけど、仕方ないですね』

俺『アスピーテラインを安比側から上がって来たんだべ?、もう一本樹海ラインてのがあるからそっち行くばおk』

冬美『え、そうなんですか?、じゃあ案内してくださいよ!』

俺『案内するほどのアレじゃねーけどな、んじゃ行くか。』

冬美のイデタチはお馴染の赤FOX上下だったが、その上にカソリタカシ色?のEDジャケットを着て準備完了。
俺はテルモスをくくり付けたバッグにねじ込むだけだ、エンジンをかけてゴーグル越しに冬美を見る。

目線が合うと真面目な顏で頷く冬美、頷き返してクラッチを繋ぎ、ひと呼吸遅れて冬美が続く。シングル2台が樹海ラインを下っていき、松尾温泉郷を少し過ぎた辺りの某所で停まった。

今日のランチは怪しい洋館風の作りの洋食屋、二人とも同じラム肉ステーキ定食を注文した。

31:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:03:46.59 ID:DP/9YheF0
ラム肉ステーキ定食を食い終わり、コーヒーを飲みながら2人でまたーり。
一人のときは黄昏流星群とかを読みながらノンビリするのだが、今日はもちろん漫画には目もくれず冬美と話し込む。

俺『んで、どうだった北海道の一ヶ月?、スゲーの一杯居たべ?』

冬美『いやー、いい人も一杯ですけど、変なのとか悪い人とか。見た目どおりだったり、見た目に寄らなかったり色々でしたww』

俺『いい奴は一杯だよな、うん、俺も行くたびに友達増やして帰って来てるしな。でも悪いのとか変なのって、たとえばどんなの?』

冬美『うーん、同じキャンプ場にシーズン中ずっと居て、バイクで来てるのに全然走らない人とか』

俺『それは噂に聞くヌシって奴じゃないのか?、でもおれ盆休みほぼ毎年行ってるけど見たこと無いぞそんなヤカラ』

冬美『それは多分・・・・ひょいと奥尻行ったりする譲二さんとは行動かぶらなさそうだし、会ってもあまり近寄らないからでは?』

俺『へ?何で?』

冬美『あたしみたいな女とか、小さいバイクに乗った気が弱そうな学生さんとかには、何だか色々言ってくるんですけどね』

俺『何言われんの?』

冬美『新入りだからここにテント張れとか、あそこに固まってる連中とは話さない方がいいとか』

俺『・・・・本当に居るんだなそんな連中。一回は見てみたいもんだと思ってたけど、別に会わなくてもいいなww』

冬美『譲二さんと最初に会ったキャンプ場は有料だったでしょ?、あーいう所には居ないんですよ、無料の所にはわんさかww』

俺『ふーん、じゃあ会ってても、そんなんだと気付かなかっただけかも知れんな。まあ縁が有ったら気付く事もあるでしょww』

気付くともう一時半を回って二時近くなっていた、おっといけねえ、早く出ねえと日が暮れちまう。
割り勘で支払いを済ませて我が家に向かい出発、途中で某農場のソフトクリームが食べたいと冬美が言い出したので寄ってみた。

だがどうもソフトを食う為には入場料を支払って中に入らないといけないらしい、それを聞いてあっさりあきらめる冬美ww

冬美曰く、『商売丸出しの観光施設なんて興味ないですキリッ』、だそーだ、相変わらずの男前発言www。

32:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:05:05.17 ID:DP/9YheF0
観光農場を後にして、周辺の酪農地帯をとことこ走る。
秋晴れのいい天気だが、だんだん体に当たる風が冷たくなってきた。
温泉にでも入って温まりたい所だが、この時間からだと湯冷めして風邪引くのが落ちだ。
とにかく最短距離を駆け抜けて家に帰ろう、走りを楽しむのは明日からにすればいいと冬美に言った。

冬美『そうですね、実はあたし夜中に青森に着いて全然寝てないもんでw、早く落ち着きたいです』

俺『よし、じゃあ最短距離をノンストップだ、ガスは大丈夫か?』

冬美『えーっと、・・・大丈夫です、ガンガン行ってください!』

俺は頷いてクラッチを繋ぎ走り出し、着かず離れずいい間隔を空けて冬美が着いて来る。普段なら三時間近くかかる距離だが、頑張った甲斐あって二時間強でウチに着いた。
ローライダーの横にドジェベルを置き、ヘルメットを脱いで冬美を誘導してあげた。

33:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:06:45.68 ID:DP/9YheF0
俺『そうそう、ドジェベルの横、クルマにあまり近づけないように・・・・オーライオーライ、よしおk!』

冬美はバハに跨ったままヘルメットを脱ぎ、顔中で笑ってこう言った。
冬美『いやー、本当に来ちゃったなあwww、いいんですか、居座ってもwww?』

俺『だからいいって言ってんだろwww、早く荷物降ろして楽な格好に着替えろ、クルマで温泉連れってってやるから。』

冬美『温泉!近くにあるんですか!?』

俺『十分くらい走るけどな、まずはその過積載なんとかすっぺよ。』

冬美『はーい、でもどこに置いたらいいですか?』

俺『着替えとか必要なもんだけ家に入れて、キャンプ道具とかの必要ないモンは、この小屋の隅にでも置いておいてくれ』

冬美『おk』

冬美はてきぱきと荷物を降ろし、キャンプ道具は小屋の隅に置き、必要なものはバックパックにひとまとめにした。
俺は準備おkと見て着いて来いと促し、玄関のカギを空けて冬美を中に招き入れた。

冬美『おじゃましまーす・・・・、うわー、広ーーーーい!!!!』

こうしてついに冬美はウチにやってきて、短いけど、一生忘れられないだろう二週間の同居生活が始まった。

38:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:31:22.76 ID:DP/9YheF0
マンション育ちの冬美が仰天するのも無理は無い、周りと比べれば小ぶりではあるがここは元農家なのだ。
一般のマンションよりはまあ、かなり広いだろう、一人暮らしなので居間台所風呂便所くらいしか使ってないがww

冬美『わー、○○の○○○○○○みたーい!』

俺『ん?、なんだそれ?』

冬美『あっとですね、元農家を使ったライダーハウスですよ、オーナーさんもいい人でとてもいい感じでしたよ!』

俺『おうそうか、じゃあここも今日からお前が居る間はライダーハウスだなw、居なくなったら即廃業するからwww』

冬美『あははは、じゃあオーナーさん、一泊の値段はお幾らですかwww?』

俺『そうだな、宿泊は無料、食費飲み代は掃除洗濯で相殺、光熱費はオーナーの晩酌に付き合ってくれたら免除、って事でどうよ?』

冬美『おkおkおkおk!!!!、じゃあ早速今晩から光熱費無料って事でwwwwよろしく!』

俺『おーう、じゃあお前が寝る部屋はそこの和室だから、荷物置いて着替えたら居間に来い、温泉行くぞ。』

冬美『はーい、すぐ行きますね』

五分後くらいに冬美が居間に現れた、胸のところに大きなキツネの柄がプリントされたピンクのTシャツにジーンズというイデタチ。
俺『私服もFOXかよwwww徹底してるなおいwww』

冬美『いやー、何だか常にこの柄がどこかに付いてないと落ち着かなくてwww』

俺『筋金入りだなwww、じゃあ行くか、忘れモンはないな?』

冬美『はーい』

当時の俺の愛車は小さめの電気工事会社が営業で使っている様な軽1BOX、小さいし非力だが荷物はたくさん積める。
その気になれば車中泊だって余裕だ、クルマは道具と割り切る俺には必要充分だ、おまけに四駆なので冬もバッチリ!。

まあバイク二台と合わせて維持するにはこれが精一杯だったってのもあるがw、あの頃は貧乏だったなあ・・・・トオイメ・・

39:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:33:29.18 ID:DP/9YheF0
俺と冬美を乗せたクルマが温泉に向かって走っていく、ちなみにBGMはチェンジャーから流れるメロコアだ。

一昔以上前に流行ったoffspringとかgreendayとかのあれね、ハレ珍仲間からは女子供が聞くようなモンとか馬鹿にされてたがww

あのスチャスチャ感が好きなだけなんだけどね、ちなみにこの時はエンジンかけたらいきなりオフスプが大音量だったww

冬美『ちょwwおまおまーwww音でけええwwwww』

俺『おっとスマソ、ボリュームダウ~ン、と』

冬美『あーびっくりしたwww、でも何かいいですねコレ、ガンガン上がってくる感じww』

俺『ああ、後でCD貸してやろか?』

冬美『はーい、ありがとうございますw、温泉てすぐそこなんですか?』

俺『もう五分くらいかなあ?、すぐそこだそこ。』

ぽつぽつ話してる間にすぐ着いた、温泉といってもぬるい源泉を沸かしなおしたモンだが、熱い湯が気持ちイイ事に変わりは無い。

三十分の約束をしてカウンターで別れ、例によって二十五分後にストレッチしていたら携帯が鳴った。

俺『はいもしもし~譲二で~す』

姉ちゃん『ああ譲二、あんた今日の晩御飯は?』

俺『んーと・・・、これから考える』

姉ちゃん『じゃあ今日うちカレーだから来て一緒に食べなさい、ジャガイモとほうれん草がたくさん入ってて美味しいわよ』

俺『えー野菜なんて別に・・・・、と、あ、姉ちゃん、ちょっと待って。』、この時三十分きっかりで冬美が来た。

俺『おい冬美、お前カレー好きか?、ジャガイモとほうれん草がいっぱい入った奴』

冬美『はい?、カレーはまあ、好きですけど、ジャガイモとほうれん草も普通に』

俺『よし分かった・・・・ああ姉ちゃん、もう一人連れて行ってもいい?』

姉ちゃん『ん?あんたの友達?、いっぱいあるから一人くらいなら構わないわよ』

・・・こうしてこの日の晩御飯は姉ちゃんちでカレーと決定したwww

40:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:35:44.40 ID:DP/9YheF0
姉ちゃんからの電話を切った後、訝しい顔の冬美に事情を説明し、とりあえずウチに帰ってから徒歩で姉ちゃんちに行く事にした。

冬美『譲二さんのお姉さんてどんな人ですか?、あたし緊張してフジコっちゃうかも・・・・』

俺『別に何てことねーただの主婦だよ、高校まではバスケ部で凄え選手だったらしいけどな』

冬美『え!!あたしも高校までバスケやってたんですよ、まあやってただけですけどwww』

俺『お、そうか。ならつかみはそれでおkだな、ここに居る間は俺の姉でご近所さんだから、まあ適当に仲良くしてくれよ』

冬美『はーい、バスケやるもの皆姉妹だから、多分大丈夫っす!』

十分でウチに着き、徒歩で姉の家に向かった。せいぜい三分くらいだ、玄関の引き戸を開け勝手知ったる姉の家に上がりこむ。
緊張している冬美を促して2人で居間に入り、隣の台所で何やら働く姉ちゃんの背中に声をかける。

俺『はーい、カレー頂きに来ましたよ~』

姉ちゃん『ああ、もう出来てるからそこに座っ・・・・・ちょっと譲二、友達って、そのお嬢さん!?』

俺『そうだよ~今日から暫くウチに居るからよろしく頼むわ~、冬美、挨拶しれ。』

冬美『あはいあのはじめまして熊本から来ました坂本冬美です高校までバスケットやっててえっと譲二さんとはニセコのキャンプ場で最初に会ってそれから奥尻島で偶然(ry』

俺『何その一息自分史wwwwとりあえず、こんにちはよろしくお願いします、でいいだろがwww』

冬美『え?あ?はい、そですね、あの、よろしくおながいします!』

姉ちゃん『はい、こちらこそよろしくね冬美・・・ちゃんでいい?、こっちには今日来たの?』

冬美『はい、あの、呼び捨てでも結構ですんで、今日の昼待ち合わせて、一時間前くらいに着いたばっかりです。』

姉ちゃん『譲二じゃあるまいし、会っていきなり呼び捨てなんて出来ないわよ冬美ちゃんwww、でも譲二の頭見てびっくりしたでしょwww?』

冬美『いやー、はい、あの、かなりwww、でも何か、似合ってますよねwww』

姉ちゃん『あたしもびっくりしたわよ、・・・朝は犯罪者だったのに、帰ってきたら受刑者になってたって感じ?』

・・・・エライ言われようであるが、どうやらモノの数分でお互いにつかみはおkになった様だ。

41:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:38:00.48 ID:DP/9YheF0
不思議な事だが女同士はすぐ仲良くなる、少なくとも男の俺にはそう見える。男同士が仲良くなるには、同級生だったり同僚だったり旅先での出会いだったり。
それに酒や連帯感なんかを加えて、ようやく腹が割れるようになるもんだろうよ。

だが冬美と姉ちゃんは会っていきなり打ち解けてしまっている、なんでだ?、まあ仲がいいのに越した事はないので別に不満ではないが。

冬美『あの、譲二さんの実のお姉さんなんですよね?、じゃあお姉さんて呼んで・・・いいですか?』

姉ちゃん『もちろんいいわよ、よろしくね冬美ちゃん』

冬美『はい、お願いしますお姉さん!』

姉ちゃん『じゃあそこに・・・、譲二の隣に座ってまってて、すぐ御飯にするから』

冬美『あ、あたし手伝います!、カレーですよね、お皿どこですか?』

何なんだこの自然な馴染み様はwww、まるでずっと前から俺と冬美が・・・・
夫婦かなんかだった様だ。その後甥っ子を連れて買い物に出かけていた義兄が合流し、夕餉のテーブルで見事なノンベが3人揃った。
三人でカレーをつまみにビールを飲み、下戸の姉はお茶で付き合った、三才の甥っ子は始めて見る冬美にはにかみながらも興味深々だ。

夜中のフェリーで青森に着いてろくに寝ていなかった冬美だが、義兄の勧めるままに芋焼酎をガン飲みし、午後九時には撃沈したwww

姉ちゃん『あらあら仕方ないわね、譲二、床の間に布団敷くからあんた起こして寝かしなさい。』

俺『おk、・・・・すまねーな姉ちゃん、俺の客なのに面倒かけさせちまって』

姉ちゃん『ふふ、あんたが女の子紹介してくれるなんて何年ぶりかしらねwww、で、もう付き合ってるの?』

俺『・・・そんなんじゃねーよ、旅の途中でちょっと寄ってくれただけだよ、まあ居る間は仲良くしてやってくれればありがたいな』

姉ちゃん『ふーん、でもそんな感じじゃないけどねえあんた達www』

・・・・そんなんじゃなかったんだよ、本当に・・・・・。

42:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:40:44.89 ID:DP/9YheF0
さて翌日は月曜日で俺は仕事だ、姉ちゃんちに冬美を寝かせたまま俺は自分ちに戻る事にした。姉ちゃんにウチの合鍵を預け、起きたら鍵を渡して勝手に家に上がらせておいてくれと伝えた。

姉ちゃん『でも大丈夫なの?』

俺『何が?』

姉ちゃん『出あって間もないんでしょ?、信用できるの?』

俺『・・・・大丈夫だろ、じゃあ頼むわ』

まだ付き合いは浅いが冬美は信用できる女だと思う、出会ってからの言葉や仕草や立ち居振る舞いがそれを表している。
そうじゃなかったら俺の見る目が無かったてことだろうし、第一盗られて困るものはウチには殆どない。
盗られて困るものはローライダー位だが、俺以外の人間にはエンジンをかけることすら難しいだろう。
その翌日の仕事はそんなに忙しくなく、午前中はたまっていた書類仕事を淡々とこなす。午後からは暇な時しか出来ない設備のカスタムwwなどする、狙い済まして五時ビッタリには会社を出れた。

ちょいと脱線するが、俺ら生産技術は、吊るしの設備に工夫を凝らして改良して使うすることが多い。幾つかの設備メーカーはそのアイディアを平気な顔でパクって、別の会社の設備や今後の生産に展開するのだ。
これってどうよ?、アメリカあたりだと訴訟で面白い事になりそうだけどなwwww
会社を出てウチまでは三十分弱だ、渋滞さえなきゃ20分をきる事もある。
ウチに帰ると玄関のカギが空いていた、・・・

なんか玄関ホールが綺麗だぞ?、廊下もピカピカだ。

居間に入ると・・・冬美が正座していたwwww、何やってんだよおいwwww

冬美『えっと・・、あの、昨日はスミマセンでした!!!』

正座したまま深々と頭を下げる冬美。
俺『は?、何が?』

冬美『だって来ていきなり酔っ払って迷惑かけちゃって・・・・、あああ、恥ずかしい・・・・・』

俺『キニスンナwww、俺だってしょっちゅうだwww』

冬美『でも譲二さんは家族だし、・・・ああ、何であたしってこうなんだろ・・・・orz』

43:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:43:27.27 ID:DP/9YheF0
ひたすらに平身低頭の冬美だが、別に誰も怒ったり呆れたりしている訳じゃない。少なくとも俺はそうだ、さてどうやって立ち直らせてやろうかwwww

俺『もーいーよ、それより体は大丈夫?、二日酔いになってないか?』

冬美『あ、はい、大丈夫です。久しぶりに布団でゆっくり寝させてもらったんで、いやー、偉大ですね布団ってww』

俺『ははは、そーそー今夜は何食う?、っつうか何食いたい?』

冬美『えーっと・・・・特に何と・・・、じゃあアレがいいです、奥尻で譲二さんが作ってくれたスパゲティ!』

俺『あんな適当なモンでいいのか?ここはキャンプ場じゃないぞww』

冬美『いやー、あの晩御飯は、あたしがキャンプの自炊に目覚めた記念すべき料理なんですよww』

俺『ん?、じゃあそれまでは何食ってたんだ?』

冬美『カップラーメンとかコンビニ弁当とか・・・・、でもあれから地元の店で食材買って、色々料理したりするようになりました!』

俺『そうかwww、じゃあ三十分待ってろ、すぐ作ってやるから!』

冬美『はい!お願いします!』

それからの一週間は穏やかなモンだった、毎晩夕食を一緒にとり、毎晩一緒に酒を飲んだ。一日一日と冬美はウチになじんで行き、姉ちゃんとも毎日行き来して茶飲み友達として仲良くやっていた。
晴れた日は日帰りであちこち走りに行き、雨の日は一日中俺の本棚の前で過ごしていた様だ。

だんだんお互いに立ち入った話もするようになって行った、人に歴史ありとはよく言ったモンで、いくら話しても話し足りなかった。
でも寝る部屋は相変わらず別だった、この時の俺は何だか、ずっとこのままでもいいような気になってきていたのだ。

もし俺があのタイミングで、酒なりノリなりの勢いで押し倒しても、恐らくは拒まなかっただろうと思う。でも俺はそれをしたら、冬美とはそれで終わりになってしまう様な気がしていた。
あくる日の俺が居ない昼間に、黙ってバハに荷物を積んで出て行ってしまうのではないかと。・・・・

それだけは絶対に嫌だった、そんな終わり方なんて真っ平だ。

あっという間にその週は過ぎて行き、冬美がウチにやってきて最初の週末が来ようとしていた。

44:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:46:50.62 ID:DP/9YheF0
生産技術屋さんの俺は一応週休二日なのだが、製造業なので現場は土日関係なし。故に土日昼夜関係無しに容赦なく呼び出されるのがデフォだ、でも今週の土日だけは勘弁してもらう事にした。
誰でも長い人生の中で色々な事があるだろうが、夏の北海道で出会った女の子と過ごす秋の週末がそう何回も有るとも思えない。

金曜は全身全霊で仕事をこなし、定時で上がって携帯の電源を切り家電は留守電にした、準備万端だwwww

俺『おうただいま、今日は何やってた?』

冬美『お帰りなさい譲二さん、イマイチ天気悪かったですから・・・・また本棚の前で一日中過ごしてました』

俺『本なんてどこでも読めるだろーが、せめて温泉行くとかしたらどーよ?』

冬美『いやー、でも自分以外の人の本棚って、何だか楽しくってwww、譲二さん見かけによらず読書家だしwww』

俺『へ?、俺が読書家?ここにあんのは西原理恵子とかはじめの一歩とかスラムダンクとかしょうもねーマンガばっかりだろーよwww』

冬美『そんなこと無いですよ、本棚って人が表れるし、・・・・譲二さんらしいなあってwww』

俺『はー、まあ一人の日中に何しようがお前の勝手だけどな・・・、でも明日は晴れるみたいだし、サクッと走りにいかねーか?』

冬美『いいですね!・・・・あの、じゃあ行きたい所、ていうかしたいことがあるんですけど・・・?』

俺『ん?なんだ?』

冬美『・・・・・・・林道に、行ってみたいんです、あの、普段あんな格好してますけど、実は、その・・・・』

俺『・・・?????』

冬美『あの、あんなバイク乗ってますけど、実は林道とかダートとか、まともに走ったこと無くて・・・』

俺『・・・・・なるほどwwww、で、この機会に初体験してみたい、てー訳だなwww、おkおk!、やばい所連れてってやるwww』

冬美『ちょwwwwあんまやばいとこはwwwwヤメテホシスwww』

そんな訳でその翌日の土曜日は、冬美と連れ立って某林道に行く事になった。
それまでも何回となく日帰りで通った林道だが、その翌日にそこで起こったあるアクシデント。一生忘れられない思い出の大きな山場が、いきなりそこで起こったのだ。

45:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:49:04.58 ID:DP/9YheF0
そういえばぬこと冬美のファーストコンタクトを書いてなかった。てな訳で、今更ぬこと冬美出会うの巻。姉ちゃんちで潰れた次の晩の話ね。

続き

大雑把なスパゲッティを食いながらビールを飲み(やっぱり飲むww)、その後はさきイカをつまみに2人でバーボンを舐めていた。
冬美は水割りでグイグイ、俺は生でチビチビと。飲む程に酔うほどに話は弾み、どんどんいい酒になっていく。

冬美『そういえば譲二さん、ウチにぬこが居るって言ってませんでした?』

俺『ああ居るよ、でも居ない時は1週間くらい平気で居ないからな、昨日の朝は居たけど今日はどうかな?』

冬美『そうですか・・・、会いたいんですけど、仕方ないですよね、何せぬこだしwww』

俺『ああそうだな、まあ気が向けば帰って・・・んん?』

その時居間の網戸が急にガタゴト音を立てた、俺は聞きなれているが冬美は驚いている様子。

冬美『ちょwwwなんすかそのラップ音www』

俺『ああ、噂をすれば何とかだな、おいお客さんだ、上がって挨拶しれwww』

サッシと網戸を両方開けると、ささっとセスエンスローjrが居間に入ってきた。
サイズは虎の子並みで顔は般若系の悪人顔、はじめて見る冬美に若干戸惑い気味だが別におびえる風でもない。
悠然と歩を進めて定位置であるテレビの上にジャンプして上がり、いつもの様に上から目線で人間どもを睥睨し始めた。

冬美『わー・・・・・、すごーい大きいー・・・、百万回生きたぬこにそっくり・・・・』

俺『なんだそれ化けぬこか?、鍋島とかの?』

冬美『ちょww違いますってww絵本のキャラクターですYO!』

俺『絵本?こんな可愛くないのが子供向けの絵本?、子供トラウマになるんじゃねえかwww』

冬美『いや、確かに可愛くないんですけどねwww、でも泣けちゃうんですよ、それに作者がバイク乗ってんですYO!』

46:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:50:57.55 ID:DP/9YheF0

俺『バイク乗ってる絵本作家?若いのか?』

冬美『いやーそれがその絵本てもう三十年くらい前の絵本で、著者近影の写真がバイクに跨って笑ってる写真でーwww』

俺『そんな昔にバイク乗ってたのか、CBナナハンとかならカッコイイなー、でももうかなり爺さんだよな?』

冬美『え?、いやあの女の人ですよ、佐野洋子さんて人、ビシッと決めてて、もう、女バイカーの元祖って感じ!』

俺『へー!、そんな昔に女がバイク乗ってて、しかも職業が絵本作家か、なかなかの大物だな!』

冬美『そうなんですよー、もうかっこよくって!あんな風になりたいなあ・・・・・』

俺『そーか、お前がそんなに言うんならナカナカのアレなんだろうな、俺も一度読んでみっかなwww』

冬美『あーもう、早く譲二さんに読ませたい!、本当にそっくりなんですよ、この、えっと・・・?』

俺『セスエンスローjrだよwww、でもみんなただ単にぬこって呼んでるww』

冬美『なんすかその外人wwww』

このあたりで2人とも酒が脳まで回ってしまい、記憶は定かでないwwww
2人で膝を突き合わせ、GARRRRRの付録(林道ガイド)等をつまみに更に飲んだくれた。まー毎日この様な事を繰り返しつつも、ついに記念すべき週末はやって来る。
金曜はガルルとバックオフを部屋いっぱいに開いてあーだこーだ、最終的に選んだのは奥羽山脈をまたぐ峰越林道の内の一つ。当日の朝六時半に起きて居間に行くと、もう気合充分の冬美が朝飯の準備を済ましていた。

47:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:53:28.45 ID:DP/9YheF0
台所で朝飯の支度をしていた冬美におはようと声をかけ、すでに開けられていたカーテンから外を見ると秋晴れのいい天気だ。

俺『おう、いい天気だな、昨日は雨で今日は晴れ、絶好の林道日和だなww』

冬美『え?晴れがいいのは分かりますけど、昨日が雨だとなんでいいんですか?』

俺『いやあのな、雨降ると林道の穴ボコに水たまったり、小さな沢みたいな流れになってたりしてなwww』

冬美『えー・・・まさかわざわざそこに突っ込んだり・・・・するんですねwwwww』

俺『台風級の雨風だと土砂崩れ起こってたりして危ないけどな、ちょっとぐらいの雨で湿り気があるくらいが楽しいんだよ』

冬美『・・・・・やっぱり、行くの止めようかな・・・・・・・』

俺『大丈夫だよ、道幅いっぱいの深い水溜りや流されそうな濁流なんてそうそう無いからwww、やばいと思ったらすぐ引き返せばいいんだよ。』

冬美『・・・・分かりました、あのあたし、超遅いと思いますけど、置いていかないで下さいね!』

俺『おkおkwww、行く前からあまり考えんな、さ、朝飯くうべ、うまそーだなおいwww』

御飯、味噌汁、半熟の目玉焼き、もやしとほうれん草の炒め物、美味い、マジで美味い。朝から二回もお代わりしてしまうほどだ、きっといい奥さんになるわこいつwww

飯を食い終わって出発の準備を整える、行き先が林道なので2人とも当然のフル装備だ。
2人ともジャージの中に着込むタイプのプロテクタージャケット、モトパンにオフブーツ、ニーシンガード。リアシートにテルモスと工具が入ったバッグを括り付け、待ちかねている冬美を促していざ出発。

冬美はリアシートに例のEDジャケットと小さ目のバッグをくくりつけ、普段と違う勝負ジャージ(本人談)でバッチリ決めている。
目に痛いくらいの真新しい赤いジャージはやっぱりキツネ印なのだが、胸の辺りにFOX HONDAとロゴが入っている。

ワークス向けの非売品ぽいけど、まあ多分コラボ商品という奴だろうな。

その辺の林道でも冬美的にはサハラかバハなのかもwww俺はいつもの着古したジャージだ、コケまくって付いた草の汁やら泥やら何やら得体の知れない汚れと穴だらけ。

48:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:55:35.16 ID:DP/9YheF0
山に向けて暫く走ると単線の県道→舗装農道→砂利道、と順調に道路状況が変化していく。
砂利道を数キロ行くともう山の麓だが、この林道は山頂まではほとんどただの砂利道だ。
冬美にはああ言ったが、林道初体験の女子をガレ場だのゲロ系だのに連れて行くほど鬼じゃない。
山に入る少し手前の公園の駐車場で一旦バイクを止め、山を指差しながら注意事項などのアレコレを説明した。

俺『山頂というか峠まではここから10キロくらい、そこまではただの砂利道だから走りやすいぞ』

冬美『そうですか・・・でも不安だなあ・・・転んだらどうしよ・・・・』

俺『こけねえ様に自分のペースで行けば良いんだよ、置いていったりしねえから心配スンナ』

冬美『はい・・・わかりました、じゃあお願いします!』

俺『おk、でもその前にちょっと練習だ、ここで8の字書いてみ、いや教習所のアレじゃなくてな、ちょっと見てれ。』

以前バイク屋主催のダート走行講習会に参加した事があり、その時に教えてもらった事をそのままやって見せた、つもり。
足を出してラクに曲がる方法と、スタンディングじは膝ではなく、くるぶしでバイクをホールドする事とか。
俺だってちゃんと出来ているわけじゃないだろうが、ダート初体験の冬美には一応教えて置かなければと思ったのだ。
あの時少しだけ乗せて貰ったモトクロッサーの加速は凄かったなあ、金があったら俺も欲しいなあ、とその時ふと思う。
冬美『・・・・はい、・・・・はい、えっと、こうですか?』

俺『うんそうそう、まあ砂利道とことこ走るくらいならそれで大丈夫だろ、もう少し練習したら行って見るか』

冬美『はい!』

三十分近くその駐車場に居ただろうか、頃合を見て冬美を促し、いよいよ山道に向けて出発だ。

49:譲二兄貴:2011/12/26(月) 09:56:40.58 ID:DP/9YheF0
砂利道の直線を一キロほど行くと、いよいよ山の麓から森の中に入っていく。
山菜取りの車がガンガン入ってくるような場所なので、ガレ場好きの俺は正直面白くないww
だが今日は自分ではなく冬美の為にここに来たのだ、ホスト兼ガイドに徹しなければならない。

充分に抑えたペースで走りながらミラーで後ろを確認しつつ、前から車やバイクが来ないか、危険な箇所は無いか。冬美もそんなに危なっかしい感じでもなく、とことこと走って付いて来る。
ゆるいカーブでも少々大げさに足を出したり、別に立たなくてもいいでしょ、て時に立ってるくらいはご愛嬌か。

数キロで森林限界を超え眺望が開ける、林道好き山好きには説明の必要はないだろう、正に絶景である。
久々の絶景にも気を取られず後ろに注意をはらって走り続ける、たまに止まって冬美に声をかけて様子を窺ったり。
その後も峠につくまでは特に問題なく走れた、三十分もかかっただろうか、ちょっとだけ広くなった山頂部分に無事到着した。

俺『はい、おつかれさん、無事山頂に到着ですwww、どーよ、楽しかったべ?』

冬美『いやー、もう、本当に楽しい!それにすんごい景色!、林道最高!、でも腕はパンパンっすwww』

冬美の林道デビューはとりあえず順調だった、ここまではね、でもこの後があまり良くなかったなあ。

50:譲二兄貴:2011/12/26(月) 10:06:14.23 ID:DP/9YheF0
冬美が先に走るのは別に構わないが、上りと下りは走り方が違う、当たり前のハナシだが。
上りみたいにアクセルを開ければ当然オーバースピードだし、ビビッて開けなさ過ぎればコントロールし辛くなる。

俺『分かってるとは思うけどな、下りだぞ、大丈夫なんだな?』

冬美『はい、あの、大丈夫だと思います、何だか前に譲二さんが居ると、付いていかなきゃって焦っちゃいそうで・・・』

俺『・・・・・俺、ゆっくり走るよ?』

冬美『はいあの、それは頭では分かってるんですけど、やっぱりどうしても、ねえwww』

俺『まあ、それはそうだな、逆の立場なら俺もそう思うかも知れんしなー』

冬美『わがまま言ってスミマセン、じゃあすんごく遅いと思いますけど、見守ってて下さい!』

俺『おk、じゃあそろそろ行くか。』

冬美『はい!』

2人ともヘルメットをかぶりゴーグルを顔に合わせ、アイドリングが落ち着いた頃に冬美がゴーグル越しに視線を寄越してきた。
俺は視線を外さないように気をつけてコクンと頷き、冬美はそれを見て頷き返してからクラッチを繋ぐ。
一呼吸遅れて俺も続き、なるべく視野を大きく、マクロ的に状況を見るように心がけて進む。危険を感じるくらいおかしい走り方をしたり、何か異常を感じたら即座に前に出て注意を促せるように。
・・・・・

まあ、かなり神経を使って走っていたわけだ、これは前を走っていても同じ事だが。上りより少々長い時間をかけて来た道を下り、何とかかんとか農道の砂利道部分まで戻ってこれた。
両側には大根やら何やらを作っている畑が続き、落ちれば死ぬ崖っぷちに比べれば何とも長閑な風景だ。
それまでは精々時速20~30キロ程度しか出して居なかったのだが、長閑な風景で気が緩んだのだろう。冬美は急にアクセルを開け始め、50キロ程度に巡航速度を上げてきた。・・・・・

こりゃ少しやばいかな、と思った時にはもう遅く、あっと言う間の出来事だった。

51:譲二兄貴:2011/12/26(月) 10:08:19.63 ID:DP/9YheF0
農道をバイクで走る上で気を付けなければならない事の第一は、まず農作業の邪魔にならない事。
農作業の為にある道なのだからそれは当然だ、第二に気をつけなけらばならないのは、道に刻まれた轍。轍そのものはどうって事無いのだが、道の中央部分が車輪で削られずに残り、そこに生えた雑草が嵩を上げる。
結果的に細い道が2本ある様な状態になり、バイクで走るのにはあまり適さない形状だ。

山から出てすぐはあまり轍らしい轍ではないが、200メートルも走ると前述のような走りにくい状態になる。
けわしい山から出た開放感から迂闊にアクセルを開け過ぎた冬美は、あっと言う間にエグくなる轍に気付き、ビビッた。
冬美はビビリから急にアクセルを戻し、フロントブレーキを強くかけてしまったのだろう。

ゆるいカーブの途中でバハのコントロールを失った冬美は、なすすべなく道中央の出っ張り部分に突っ込んでいく。
バハはけつまづく様な感じで一回転して畑の横に転がって停まり、冬美はその横に背中から落ちて大の字になった。
俺はバイクを横に停めて冬美の側に駆け寄り跪き、大の字になった冬美に向かって大声で叫んだ

52:譲二兄貴:2011/12/26(月) 10:09:05.69 ID:DP/9YheF0
俺『大丈夫か!!!!!??』

冬美『・・・・・うーーーーーん・・・・やっちゃいましたね・・・・・・・すみません・・・・・・』

俺『どっか痛いところは!?、動けそうか!?』

冬美『・・・・はい、体は大丈夫みたいです、・・・・・起きます。』

俺『手を貸すから、気をつけてな・・・・、そーーーっと・・・・・』

大の字に寝転がった冬美の両肩と腰の辺りに手を回し、首に負担をかけないようにゆっくりと起こす。上体を起こした冬美は慎重に首を振り、肩や手首を回して痛んでないかを自分で確かめた。

冬美『・・・・・大丈夫みたいです、・・・・立ちますね』

俺『その前にヘルメット脱げ、ああ待て、アゴ紐とゴーグル外してやるから・・・・痛くないか?』

冬美『・・・はい、大丈夫です・・・』

ゆっくりゆっくりとヘルメットを脱がしてやり、座っていた傍らに置いた。一応肩を貸してやったが、冬美はしゃきっと立ち上がった。

どうやらケガは無いようだ、まずは一安心。・・・・・よかった、本当に良かった。

これで冬美が大怪我でもしてしまっていたら、冬美の両親に何と詫びれば良かったのか。やっぱり下りでも俺が先に走るべきだったのだ、明らかに俺の判断ミスだ。

61:名も無きひじき774号+:2011/12/26(月) 15:43:42.28 ID:KmHyxEp8O
何となく6号から三無や澤内に抜けてく林道を連想した
当たってるかな?

87:譲二兄貴:2011/12/27(火) 00:31:32.71 ID:HwbJlESD0
>>61
まあその辺は好きに脳内再生でヨロ

62:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:11:41.85 ID:DP/9YheF0
続きます
勢いよく立ち上がった冬美だが、なんだか視線が定まっていない。失神したり意識が混乱している訳じゃないし、立ち居振る舞いからして大きな怪我などはしていない。大丈夫だとは思うが、何だか頼りない感じだ。

冬美『いやーやっちゃいましたねwwww山降りてきて少し調子に乗っちゃってアクセル開けすぎてwww』

俺『いや、すまん、やっぱり俺が前でペース作るべきだった、申し訳ない・・・・』

冬美『いやそんな譲二さんの所為じゃないですよ私始めての林道でハイになっちゃって楽しくってwww』

俺『いや・・・・、俺がちゃんと先導してればお前は安定していた、こんな場所でこけなかったはずだ、すまん・・・』

冬美『いやでも連れて行ってってお願いしたのは私だし前を走らせてってお願いしたのも私だしあのその』

俺『・・・・・』

明らかにおかしい状態だった、俺にも覚えがあるから、何となーく分かった。
以前細い峠道でスリップしてコケた事があるのだが、その後の俺と今の冬美がそっくりなのだ。その時の俺は連れに対し、狂ったように笑ってはしゃいでいた記憶がある。

怖かったのだと思う、昔の俺もその時の冬美も、大怪我したかも、死んだかも、そんな恐怖と必死に戦っている。
俺はまあ、見栄っ張りな男だから、黙って痩せ我慢し
てその場をやり過ごしたが、あの時の冬美はそう行かなかった。

冬美『・・・・・・・・・・・・、バイク、乗って帰れるかなあ・・・・・、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』

そう呟いた冬美は見る見るうちに無口になり、顔が青ざめていく。すぐにガタガタ震え始め、自分の両肩を抱いてその場にうずくまってしまった。

俺は迷わなかった、しゃがみ込んだ冬美の両肩を鷲掴みにして無理やり立たせ、そのまま力一杯抱き締めた。

後ろ頭と腰の辺りに両手をまわし、振り回す様に引き寄せて、強く抱き締めた。

63:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:13:22.55 ID:DP/9YheF0
冬美は一瞬だけびっくりした様な感じだったが、構わず抱き締めている内に段々落ち着いてきた。鉄の棒が入っていたみたいだった体は段々柔らかくなって行く。
自分の両肩を抱いていた手は、いつの間にか俺の背に回っていた。
冬美はコクンと首を前に倒し、俺が視線を下に向ければ項と背中を見下ろすカタチ。

俺『・・・・落ち着いたか?』

冬美『・・・・はい、もう大丈夫です、大丈夫だと思います・・・、取り乱してすみませんでした・・・・』

俺『・・・同じだったからな。』

冬美『・・・・はい?』

俺『俺も前にこけた事があってな、パニくってさっきのお前みたいになってた。』

冬美『・・・・・そうなんですか、ごめんなさい、あたし、不安で、怖くって・・・』

俺『怪我がなくて良かったよ、本当に、・・・・・さて、いつまでこうしてるwww?』

冬美『・・・・え、あ!はいあのそのスミマセンあたしそのフジコ』

気が付くともう五分ほども抱き合っていて、慌てて俺から離れた冬美は顔を真っ赤にしているwww

離れる瞬間は残念と言うか寂しいと言うか、後で聞いたら冬美もそうだったらしい。俺と冬美が出会ってから別れるまで、お互いに一度も好きとか愛してるとか、その類の言葉は口に出さなかった。
口にすればお互いの気持ちが形になり言霊になる、極めて近い将来に別れが来ると言うのにも関わらず。

64:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:14:49.78 ID:DP/9YheF0
俺『さてと、お前のバイクを何とかしないとな、走れればいいんだけど。』

冬美『ああああ、あたしのバハが、・・・・大丈夫かな・・・・』

数メートル離れた場所に転がっていたバハに近寄り、とりあえず引き起こしてスタンドをかけて立たせた。
つんと鼻を突くガスの臭いがする、キャブがかぶっているのだろう、まあこけたんだから当然だ。
問題はフロント周りと灯火類、バハ特有のトンボ眼を支えるステーは根元から曲がっていた。ライトもウインカーも正常に動作するので電装は問題ないだろうが、光軸が左に曲がっている状態だった。

更にハンドルを真っ直ぐにすると、前輪が右に少し切れている状態、だったと思う。他の部分には全くダメージは無いみたいだ、結構激しく転がってたみたいだけど、丈夫だなあXR。
元々過酷な場所を楽しく走るためのバイクだからして、当然と言えば当然だ。

試しにセルを回すと幸いにして直ぐにエンジンは掛かった、コレなら何とか自走して帰れそうだ。
でも今の状態の冬美に、左に少しハンドルを切ってれば真っ直ぐ走るから大丈夫とか、・・・・心配だ。結局俺がバハに乗って帰る事にして、ドジェベルは冬美に跨らせた。

65:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:17:06.88 ID:DP/9YheF0
俺が真っ直ぐ走らないバハを運転し、冬美がドジェベルで後ろに続く。一時の動転からは何とか立ち直ったようで、乗り慣れないバイクにでも千鳥で淡々と付いてくる。
怪我もなかったようで何よりだが、どうにも全身泥だらけで気の毒だ。

ウチまで無事辿り着いた後例の温泉に行かないかと誘うと、泥だらけ汗まみれの冬美はもちろん即OK。とりあえずガレージにバイクを入れてから、フル装備を脱ぎ捨てて2人で軽ワゴンに乗り込んだ。

俺『すっかり落ち着いたみたいだな、怪我がなくて良かったわ、マジで。』

冬美『・・・・・・もー、いきなりなんだからwww』

俺『は?何だって???』

冬美『いきなりギューってしたじゃないですかwwww、びっくりしましたよ本当にwww』

俺『あーあれかwwwいや何だか自然になwww、・・・・嫌だったか?』

冬美『まさかまさかまさか!!!!そんな事無いですよwww、すっごく安心しました・・・ありがとう。』

俺『そうか、なら良かった。怒ってないかちょっとだけ心配だったww』

冬美『さっきの譲二さんて、何だかお父さんみたいで・・・懐かしかった。』

66:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:18:31.83 ID:DP/9YheF0
俺『ふーん、お前のお父さんて、俺に似てるのか?』

冬美『いやーあの、外見は全く似てませんwww、ある意味に於いて似てると言えば似てるんですけどwww』

俺『何だそりゃ?どっちだおいwww』

冬美『外見は全然似てないんですけど、譲二さんて兄貴親分丸出しって感じじゃないですか?、その辺はそっくりwww』

俺『俺が?兄貴丸出し?はあ?、どこがよ?』

冬美『・・・・自覚無いんですね、でも誰が見ても明らかにそうだと思いますよ、・・・・だから気になったのかな・・ボソ・・・』

俺『ん?なんだって?、まーなんでいいけどな、それでお前の親父ってどんな人なんだ?』

冬美『うーんそうですね・・・・、零細だけど社長さんで、脂ぎってて男臭くて、いつも元気で、元気でした・・・・』

俺『元気、・・・・でした?』

冬美『はいあの、あたしが中1の時、病気で・・・・』

俺『そうか・・・・・・すまん、聞いちゃいかん事を聞いちまったな・・』

冬美『いや気にしないで下さい、ずいぶん前の事だし、譲二さんは何も知らなかったんだから、仕方ないっすよww』

何故ニセコで初めて出あったあの時、いきなり俺と打ち解けられたのか判った気がした。何故わざわざ奥尻島くんだりまで俺を追いかけて来たのか、それも判った気がした。
その時は何となくそう感じただけだったが、冬美がいなくなった後考えに考え、そうだったのだなと思い至った。

67:名も無きひじき774号+:2011/12/26(月) 19:20:39.03 ID:+JB+dVaG0
泣けるねぇ。

68:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:21:49.36 ID:DP/9YheF0
俺『・・・・そうか、じゃあこの話しはコレでヤメって事で、・・・よし、着いたぞ、また三十分後でいいか?』

冬美『はい、じゃあまた後で。』

きっかり三十分後に上がってきたのだが、冬美の姿はまだ無い。おやー珍しいなと思ったが、備え付けのマンガを読んでいたら十分ほどで現れた。
俺『おう遅かったな、お陰で洗い髪が芯まで冷えちまってよ、風邪通り越して肺炎になるとこだったぞw』

冬美『え?洗い髪って?・・・・・譲二さん今坊主なんですけど・・・・?』

どうやら冬美は神田川を聞いた事が無いらしい・・・・orz

俺『・・・・まーいーや、じゃあ帰ってメシにするか、それともどっかに食いに行くかな・・・・何か喰いたいもんあるか?』

冬美『いやあの、今は胸がいっぱいっつーか、軽いものがいいですね。』

俺『よし、んじゃー一丁おされなカフェにでも行くか、結構旨いもん食わすぞ。』

冬美『え?カフェ?譲二さんが?・・・・何かこう違う感じがwwww』

俺『なにおう~俺だっておされなカフェのひとつやふたつくらい知ってるよ、まあ黙って連れて行かれなさいwww』

69:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:23:29.36 ID:DP/9YheF0
クルマで走ること十分で目的のカフェに到着、昼間はランチとカフェで夜はバーになる店だ。夜のバータイムになると出てくるマスターが俺のバイク仲間で、昼間はその奥さんとバイトの子がランチ営業をしているのだ。
開けるとカランコロンとキャッツアイ音がするドアを開け、奥さんに挨拶してクルマが見える窓際の席に座った。

2人がけのテーブルに冬美と座り、駐車場を眺める、いつもはバイクを眺めて座る位置だが、今日は冬美とクルマを視界に入れている。
奥さんはレモンの味がするお冷を二つ置いて、意味ありげに笑ってカウンターの中に戻っていった。

俺『なんにする?、奢るから好きなモン食っていいぞ』

冬美『え!?、いいんですか?、・・・悪いですよ。』

俺『気にスンナ、奢るよ、って言うか奢らせろ、・・・いや、何も言うな、奢られてくれ、すまん。』

冬美『何で謝るんですか・・・・・、はい、でも判りました。じゃあ今日のパスタセットは・・・ボンゴレと海藻サラダですね、ゴチになりまーす!』

俺『おう何でも食え、大盛りでも特盛でもいいぞ、俺は・・・・ロコモコ丼特盛と、やっぱ肉と米だよな肉とメシ!』

冬美『葉っぱとか根っこの野菜も食べましょうね、少しは・・・・』

70:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:24:41.20 ID:DP/9YheF0
注文の品が来て二人とも瞬く間に完食、やっぱり疲れて腹へってたんだろうねえ。気が付くともう午後三時を回ろうかという頃合、店内に居る客は俺達だけだ。
セットのコーヒーを飲み干して追加でブレンドを注文した、ここのブレンドはガッツり量が多くて飲み応えがあり、さらに旨い。この辺はさすがにリアルバイカーが営む店だ、ザクとは違うのだよ!ザクとは!

この時点で2人とも完璧にケツに根が生えていた、色々話したよ、本当に色々、たっぷり二時間くらい。
ニセコや奥尻島のキャンプ場でそうだったみたいに、飽きもせずお互いの事をたくさん話した。
子供の頃の事、始めて乗ったバイクの事、友達の事、学校生活の事。俺は男だらけの工業高校、冬美は女子高だったそうだ、何だか外では話せないよーな事が色々あるらしいww
日本の南と北には分かれているが、同年代なので当然のごとく昔話にも花が咲く。
俺はブルーハーツ派で、冬美はユニコーン派、どう見てもバンドブーム世代です本(ry

・・・気が付くともう五時を回っており、いくらなんでも長居しすぎたふい(ry、そろそろ潮時かなと冬美を促して腰を浮かした。

ハレ珍仲間のマスターはまだ昼の仕事から戻って来ていないので、よろしく伝えてチョーダイと奥さんに言い残して店を後にした。

71:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:25:14.43 ID:DP/9YheF0
晩飯には早すぎるし、まだ家に帰りたい気分ではない。ちょっくらドライブにでも行くかと言うと、冬美は笑顔で頷いた。
行き先は決まっている、ここから三十分ぐらいの場所に車で乗り入れられる砂浜があるのだ。海に行くとだけ冬美に告げてハンドルを握り、着いてみると天気は穏やかなので海は凪いでいた。

冬美『え!?あのちょっと!このまま行っちゃうのかYO!クルマ埋まっちゃいますYO!』

俺『ダイジョーブ大丈夫GJと、ほーれなんともないでしょw』

冬美『ああ・・・・本当だ、平気で走ってる!!、スゴーーーーい!!!!、なぎさドライブウェイみたい!!』

俺『何だそれ?どっかの有料道路か?』

冬美『いや、あたしも何処だか良く知らないんですけどww、聞く所によるとパリダカの砂浜みたいな所らしいです!』

俺『ふーーん、そうか、何時か行ってみたいもんだな、でもここだってちょっとしたもんじゃね?』

冬美『はい!凄いです!ちょwwwww何あの夕陽wwwwsugeeeeeee!!!!』

72:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:26:52.01 ID:DP/9YheF0
1BOXのケツを海に向けて停車してエンジンを止め、リアハッチを空けて冬美に座るように促した。
周りには誰も居ない、居るのは流木と、日本語やハングルや中国語が書かれた漂着ゴミだけだ。誰も居ない海が夕陽で2人きり、何ともベタベタな80s歌謡曲みたいな状況だwwww

ギンギンギラギラと夕陽は沈んでいき、暫らくの間は黙って2人で夕陽を眺めていた。

どちらが先に腰を浮かせたのか良く憶えていないが、気が付いたら海に向かって並んで歩いていた。

波打ち際まで来た辺りで一旦立ち止まり、北海道の方に向きを変えて更に歩き始めた。

冬美『・・・・あっちって、奥尻島の方ですよね?・・・・何だか不思議な感じ・・・』

俺『ああそうだな、不思議だよな、本当に・・・・・』

歩きながら指先が触れ合い絡み合う、逆手で手を繋いで更に歩き、目に付いた大き目の流木に並んで腰掛けた。何と申しますかね、もうこうなったらね、言葉は不粋ですね、繋いでいた手を腰に廻し、グイと引き寄せる。
腰に廻した手を動かして肩を抱き、更に頭を鷲掴みにし、至近距離で顔を見合わせる格好になった。

お互いのもう一方の手は激しく弄り合っている、最初に鼻先が擦り合わされ、ついに軽く唇が触れ合う。

お互い大人しかったのはそこまで、唇を吸い合い、舌をまさぐり合い、歯茎を舐め合った。

俺と冬美は大き目の流木の上で2人並んで、日が暮れて真っ暗になるまでそうしていた。

73:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:27:49.96 ID:DP/9YheF0
並んで座ってキスしたり抱き合ったり、とにかく片時も離れずに密着していた。食べちゃいたい気分てあるんだよね本当に、男なら判るだろあの感じ?

手加減無しに強く抱きしめたり、突然舌が抜けそうなくらい強く吸ったり。

その度に脳の真ん中で何かがスパークして、頭蓋骨と背骨の継ぎ目辺りからどっかに何かがぶっ飛んでいく。

無言でhgskいちゃつく事小一時間、いつの間にやらとっぷりと日は暮れてかなり肌寒い。

ここは東北の十月の吹きさらし、いくら体が火照っているとは言え、このままここでこうしているには寒すぎる。

俺『・・・・寒くなってきたな、そろそろクルマに戻るか?』

冬美『・・・・・・・・・はい、・・・・・あの・・・・・譲二さん?』

俺『ん?』

冬美『・・・・・もう、うちに戻りましょ・・・・ね?』

俺『・・・わかった、帰ろう』

冬美『はい・・・・・』

74:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:28:37.23 ID:DP/9YheF0
お互いの腰に手を廻したままクルマに戻り、開けっ放しだったハッチを閉めてクルマに乗り込んだ。

俺が運転席にケツを付けるのとどっちが速かったか?

先に助手席に乗り込んでいた冬美が俺の左手をひったくって両手で握ってきた。

俺『ちょwwwwどうしたんだよwww』

冬美『だって・・・・寂しかったんだもん・・・・・』

俺『は?何で?』

冬美『・・・・車乗る時にね、譲二さんとあたしの手が離れちゃったでしょ?、だから寂しかったの・・・・』

俺『・・・・・・・・』

冬美『・・・・・・・・』

端から客観的に見ればこの女もうアホかと、でも俺はアホかとなんて欠片も思わない。このときの俺は冬美のその情熱に感動していた、これが火の国の女か・・・・、実におそるべしだ。

そしてまた車内でキス魔が2人出没し、家路に着くのは更に30分ほど遅れる事となった。

(まあたまたま「冬美」がそんな女だったって事だとは思うが、以来テレビで坂本冬美を見るたび密かにドキドキする体質になる)

75:譲二兄貴:2011/12/26(月) 19:29:38.76 ID:DP/9YheF0
帰りの道中ではさすがに2人とも抑え気味だが、信号待ちなどの時隙を見てはお互いの手を弄り合っていた。帰り道は仕事帰りのクルマで混んでいた、不景気の田舎では週休二日はデフォじゃないのだ。
来る時は30分くらいだったが、ウチに着いたのは海を出発してから小一時間くらい。もうTシャツの上に薄手のシャツと言う、秋晴れ仕様なイデタチの2人の体は冷え始めている。
手を繋いで鍵を開けて玄関に入り、居間のソファに並んで座る。玄関の鍵は閉めたし、家電は留守にセット、2人とも携帯はとっくに電源オフ。

とりあえずヌコの姿も見えない、横柄なヤクザ顔で縄張りの地回りでもしているのだろう。
今日のところは締め出しだ、悪いなセスエンスローjr、後でカリカリじゃなくて高いヌコ缶食わしてやっから勘弁しれ。

これで全ての準備おk、もう今晩はどんな邪魔も入らない、邪魔させるかゴルア。

81:名も無きひじき774号+:2011/12/26(月) 21:39:28.14 ID:KOTr2tGZ0
文字量多すぎて噴いたwあとでゆっくり読もう

84:名も無きひじき774号+:2011/12/26(月) 22:39:50.46 ID:DU4LRE9gI
読みやすい文章のおかげで、一息に読んでしまったおかげであんたに惚れそうだw

92:譲二兄貴:2011/12/27(火) 07:29:00.29 ID:/XjpOQEa0
・・・・・もうお互いの理性やら何やらは全て吹っ飛ぶ直前だ、居間のソファに並んで座って無言で見つめあう。

どちらからとも無く手を伸ばし、指先がふれあい、冬美の手の上に俺の手が重なる。

そのまま居たのはほんの三十秒くらいだったと思う、空いた手で冬美の頭を黒髪ごと鷲掴みにして俺のほうに引き寄せた。

この時頭が小さくて驚いたのを憶えている、俺の手がかなり標準よりでかいってのもあるが。

抵抗を感じさせる力みみたいなものは全く感じられなかった、むしろ待ってましたと俺の手より早く冬実の顔が目の前に来た感じ。
最初は軽くお互いの唇が触れ合う程度の軽いキス、チュッチュ、て感じ。
まだ半開きのまぶたの奥にうるんだ黒い目。冬美の手に重ねていた手を外し、腰だか尻だか良く分からん所に手をかけて、軽く引っ張って近づくよう冬美に促す。

俺の顔から数センチの位置で軽く頷いて体ごとにじり寄ってきた、お互いの腰と腰がくっつき、そこで一旦動きが止まる。

お互いの体温や体臭がはっきり分かるエロい体勢だ、改めて見つめあってから目を閉じて少し深めのキスを一発。

そうなったらもう止まらないのが健康な成人男女だ、ああやっぱり俺たちこうなるんだな、と、その時一瞬ふと思う。

お互いの肩だか背中だか腰だか尻だか良く分からない場所に手を回しまさぐり、唾液を飲み干し合う様に舌を絡めあった。
いくらキスしてもし足りない感じがした、気付いたらソファの上で30分近く同じ体勢、キス魔(?)になっていた俺と冬美。

一旦体を離して冬美をソファの上に寝かせ、上から覆いかぶさってまたキスしまくる。

今度は唇だけじゃなく、首筋、うなじ、耳たぶなんかにも雨あられにキスしまくった。

胸に大きくプリントされたキツネ柄の上に手を伸ばし、最初は軽く、だんだん遠慮なく。当たり前のようにTシャツのすそから手を伸ばす。

ブラのカップの下の硬い部分(ワイヤーか?)に手を触れたあたりで、冬美が俺の手をTシャツ越しに押さえて、俺の手の動きを止めた。

俺『・・・・どうした?』

冬美『お風呂に入らせて・・・・、いっぱい汗かいたから汚いよ・・・・』

俺『でも、帰りに温泉入ってきただろ?』

冬美『えー、だって・・・・』

風呂を洗って沸かすにはそれなりに手間がかかる、近場の温泉行に行くとしても一時間くらいは間が空く。どっちにしても時間がかかる、ここで俺の視界いっぱいに三択が表示された。
A:家の風呂を沸かす     B:車で十分の温泉に行く     C:そんなの関係ねえ

著者注:書いたのが数年前なのでネタが古いのは勘弁おなしゃす

冬美がシャワーだけでも浴びたいと言うので、結局選択したのはAだった。
男としてもう我慢できない状態な訳だが、男としては我慢しなければならない場面だとも思う訳ですよ。

絶対違う意味だとは思うが、西田哲学とやらの『絶対矛盾的自己同一』と言うフレーズが頭の中に浮かぶ。
男のコダワリやせ我慢→開高健がアマゾンキター→絶対矛盾的自己同一→大物釣れてウマー誰かエロ暇なシト居たら本当の意味教えてくれ、あ、高卒ハレ珍機械いじり職人に判る様におながいしますよ。

冬美『すぐ行くから・・・・、譲二さんは寝室で待ってて、おねがい・・・』

俺『わかった・・・・、上で待ってる、離れるのは寂しいけど我慢するわwwww』

冬美『ちょwwww真似しないでYO!wwww』

さて寝室っつーか俺の部屋ね、大き目のソファーベッドの上に布団を敷いたのが俺の寝床。今晩から冬美が再び出発するまでの愛の巣wwだ、

シーツと毛布とは換えたばかりだし掛け布団は先週換えたばかりだ。さてここで重要なモノを準備せねばならない、未婚カポーのセクロスで避妊汁のは当たり前だのムードン子。

部屋の隅の机の上にレターケースがあり、ここの一番下に確か・・・・・随分前のお持ち帰りの残りが・・・。んーと、あったあった、六個入り箱に残四個なのが軽めに生ナマしいですが何か?

・・・・少し考えて箱をグシャグシャにしてゴミ箱に捨て、四個を敷布団の下にセットした。ベッドおk、ムードンコおk、箱ティッシュおk。・・・・

後は冬美がここに来れば戦闘開始だ。・・・・・・・・ああああああああもーーーうーーー落ちつかneeeeeeee!!!!!

飲むか飲むまいか少し迷ったが、枕元に置いてある寝酒用のバーボンをラッパで一口煽る。あーもー、緊張で全然味しねーし

度数40の水だ水、何だよ俺、これじゃまるで童貞じゃねーかwwww冬美と離れてから三十分近く経っただろうか、控えめなノックの音がした。

冬美『あの・・・・・譲二さん・・・・?』

俺『・・・・・ああ、入ってくれ』

ドアを開けて入ってきた冬美は、部屋着のジャージの上下姿だった。てっきりバスタオルを巻いた臨戦態勢で来ると思っていたので、俺は少し拍子抜けした。
冬美『あれ?飲んでるんですか?』

俺『・・・・ああ、何か落ち着かなくてよwww・』

冬美『あたしも飲みたいな、譲二さん、ひと口貰っていい?』

俺『ああいいよ別に、でもまずは座れよ』

冬美『・・・・はい、・・・・何だか照れちゃいますねwwwww』

ベッドの横に腰掛けていた俺の横に座り、にじり寄ってきてピタリと密着した。
ここで少しいたづらを思いつく悪い俺、バーボンを口に含み、有無を言わさず冬美にキスをした。

冬美『ちょwおまおまーwwうぐぐぐぐぐぐうううwwwww・・・・・』

ちょっとずつ、少しづつ、口移しにバーボンを流し込む、お猪口半分くらいの量を、一分近くかけて流し込む。

俺『ふー、どうだ冬美、美味かっただろwwww?』

冬美『・・・・・いやあの、いきなりアレで味なんか判る訳ねえだろと小(ry』

俺『はははwww、怒ったか?』

冬美『もうね、もうアホかと。いたずらはいやづら!プンプンですYO!』

俺『はは、じゃあどうするwwwww?、別々に寝るかwwww?』

冬美『・・・・・・・・・・・・・・ばか譲二。』

ぼそりとそう言うと冬美は物凄い勢いで抱きついてきた、俺はそれを真正面から受け止めて抱きしめる。一生忘れられない女との、一生忘れられない一発、一生忘れられない夜が、そこから始まった。

片時も唇と舌を離さないままベッドになだれ込み、互いに強く抱き締め合った。互いを自分の中に取り込みたいというか、食べちゃいたい気持ちの一つか二つ上ぐらいの衝動。
痛いくらいに抱き締めあい、互いの衣服の上から尻だの背中だのをまさぐり合う。

夢中で互いを貪り合っている内、着ているTシャツやらジャージやらがものスゲー邪魔に感じてきた。

冬美も同じ気持ちだったみたいで、段々と俺が着ているTシャツの裾から手を入れてきていた。

冬美の手のひらが、指先が、爪先が、俺の背中をまさぐっている、実にエロイ感触だ。

俺は頃合と見て体を起こし、お互いの足が絡み合った状態で座ったまま向き合った。

ほんの少しだけ体を離し、冬美が着ているキツネ柄のTシャツの裾に手をかける。Tシャツを引っ張り挙げて脱がせる前に、一応だが眼で聞いておく。

眼がいいよと言っていたので、そのまま万歳をさせる格好でTシャツを抜き上げた。

引き締まってるけど充分に女のラインが出ている体、小ぶりだが形の良さそうなおっぱいを包んだ薄いピンク色のブラ。

ごくりと唾を飲み、速攻でキスしておっぱいを揉みまくって・・・、と思った時。冬美はほんの僅かな手振りと目線で俺の動きを止めて、俺が着ていたTシャツの裾に手をかけた。

特に抵抗する理由も無いので、素直にバンザイして脱がされるままに脱がされる。

距離数センチの対面座位のカタチで、上はブラ一丁の冬美、上半身むき出しの俺。何故かそこで2人とも動きが止まり、しげしげとお互いの体を眺めていた。

それでも止まってたのは三十秒くらいだっただろうか、冬美が俺の大胸筋あたりにそろそろと指先を伸ばしてきた。

冬美『胸・・・・・厚いのね、それに凄い堅い・・・・・肩幅・・・・広い・・・・。』

俺『まあ・・・・暇がありゃジムで鍛えてるからな、肩幅は・・・・生まれつきだ・・・。』

冬美『もっと触りたい・・・、いや触りたいとかじゃなくて、じゃなくて、あの・・・・』

俺『ああ、いいよ、わかるよ・・・・俺も冬美に触りたい、触っていいか?』

冬美『うん、いいよ、触って、いっぱい触って・・・・・。』

俺は頷いて最初はブラの上から優しく撫で始め、徐々に遠慮なくおっぱいを揉み始めた。両手で両方の乳を同時にも揉んで、両方のカップを同時にめくって乳首をペロンと出した。
小さい乳輪に形のいい乳首が突き出している、俺が強く噛んだらポロリともげてしまいそうだ。抱き寄せて背中に手を廻し、ホックをずらしてブラを外した。

むき出しになったおっぱいは、決して大きくはなかったが、十分に成熟した女の形をしていた・・・・・。

それを見た成熟した男である俺の脳の中では、当然のやうに大量のエロ脳内麻薬が発生する。

たまらずぐいっと冬実を引き寄せ、俺の胸板で冬美のおっぱいを押しつぶすような形で抱き合い、激しくキスした。

そしてお互いの背中をまさぐり合う手と手は、段々と下の方、下の方を回遊するようになる。

最初にジャージを捲って尻に手を伸ばしたのは俺、負けじと冬美も俺のケツに手を伸ばしてきた。

こうなるともう止まらない、尻から段々と前の方に手を動かし、パンツの前の方に手を移動させる。
差し込んだ手でパンツの上からあそこを撫でると、パンツの生地と毛が擦れる(かな?)シャリシャリした感触が伝わってくる。

このときキスはしたままだが、冬美の手は止まっていた。

緊張しているのか、触られるのに集中しているのか。

段々と手を下に伸ばしていき、クリトリスがあるであろう辺りで指先にいい仕事をさせ始める俺。この時点でもうジャージまで濡れていた、かなりおつゆが多い性質らしい。

・・・・・エロい、エロいぞ冬美・・・・・。

でもおつゆの量の割りに声は小さい、息遣いはそれなりに荒いが、たまに、ふうん、とか。あん、とか言う程度だ。

そしていよいよ指先をパンツの内側に滑り込ませた、にゅるりんという感じ。生地の感触がないくらいヌルヌル、尻からなにから、どこもかしこもツユだらけだ。

一度体をビクンとさせた冬美は、俺のに手を伸ばしてきた、遅ればせながらも反撃開始らしい。

ここに来ては俺も当然、もういい感じにバキバキだ、もう、入れたくて仕方ない・・・・・。

冬美はパンツの上から逆手で形をなぞりながら、ジワジワと、脱がされていく俺。お互いのあそこを手で弄りながら、履いていたズボンを脱がしあう。

冬美のパンツはブラとセットなのであろう、薄いピンクの、あまり派手な物ではないけど。
恐らくは少ない旅の荷物の中でも、一番いい(勝負)下着なのだろう、品質の良さを感じるデザインだった。

さっき冬美がどうしても風呂に入りたいと言ったのは、多分この下着を身に付けたかったのだろうなと・・・。

遅ればせながらこの時ようやく気付き、さっきは我慢して正解だったなと密かに思っていた。

俺も綿100%の大雑把なトランクスをさっさと脱ぎ捨て(脱がされ)、いよいよ素っ裸の2人、男と女、俺と冬美。

ここからいよいよ第一戦の大詰めだ・・・・、改めて冬美を押し倒し、キスからやり直す。

唇から首筋、鎖骨からおっぱい、乳首からへそ、腰から太もも、あそこはとりあえずスルーしてふくらはぎ。膝の裏から足の指まで、体中丹念にキスの雨を降らせ、そしていよいよ冬美のあそこが目の前にある。

両膝を持ってMの字になる形に大股を開かせ、足の付け根辺りから、徐々に、徐々に、キスしていった。両手の親指でぐいっと押し広げ、直球ど真ん中でクンニし始めると、・・・・・冬美は豹変した。

さっきまでの何となく抑えていた感じは綺麗に消え失せ、直接的な言葉で気持ちよさを表現するようになった。

ああそうか、冬美はここが一番気持ちいんだな、うんそうか、それならそうと早く言えばいいのにwww

攻められるより攻める方が好きな俺は、とりあえずイキ放題に逝かせることにした。

あん、気持ちい(ry、イッちゃう、イク・・・・・・とか言ってるしね、うん、男冥利に尽きるわホント。バタバタ動く足腰を両腕でがっちりロックし、舌と唇だけで冬美のあそこ周辺を攻めまくった。

十五分くらいそうしていたかな、気が付いたらシーツに直径30センチ近い染みが出来ていたwww

・・・・・さすがにもういいかな、もう充分だろう、これ以上は、色々とやばいかもね。

体を起こして冬見に覆いかぶさり、眼で聞いた、冬美はコクンと頷いたので、枕の下から例のアレを取り出す。

それを見た冬美は少しだけ素面に近い顔になったが、その口からは特に何も言葉は出てこなかった。

俺は淡々と、くるくるりんとムードンコを装着し、キスしながら冬美にあてがい、じわじわと押し込んでいく・・・・・。

う・・・・・、結構きつい・・・・狭いと言うか、気持ちいいよ冬美・・・・・・。

ヌルヌルしていたからなめた

反省はしていない

今は挿入している

ゆっくり、ゆっくりと入れてき、根元まで全部入ったところで冬見の顔を見た。

俺『冬美・・・・・気持ちいい・・・・』

冬美『あたしも・・・・気持ちいいよ・・・・』

肝心のここでは意外と淡白だった俺と冬美、まあここまででお腹いっぱいだったからかなwww

でもそれより何より、鍵と鍵穴がタイトすぎて、あまり激しく動けなかった。片手は繋いで、片手で抱き合って、ずっとキスしながら、ずっと正常位で。

確か十分くらいで俺がイキ、ドクン、といくと、冬美は、ビクン、と反応する。一回いくごとにドクンは5~10回あるのだが、冬美の体はいちいちそれにビクンと跳ね上がるように反応する。

ドクン→ビクンが完全に治まるまで、手を繋ぎあい、ずっとキスしていた。

・・・気持ちよかった、本当に気持ちよかった。

あんなに気持ちよかったのって、後にも先にもアレきりだったな・・・・。

それから名残は惜しかったけど、いつまでも入れたままにしている訳にもいかず。ゆっくりと冬美から俺を引き抜くと、冬美は起き上がってティッシュで俺を綺麗にしてくれた。

その後も一回だけではお互いに収まりが付かず、結局枕の下のゴムがなくなるまでやり続けた。

かなり空腹だったはずなんだけど、食欲は全く感じなかった。

寝たのは一時くらいだったかなあ、それから朝七時くらいまで絡み合ってぐっすり眠った・・・・

これが最初の夜、ついにやってしまった時の事。

その後冬美が旅立った後で、抱いた事を後悔することになるのだが・・・・・

居なくなった後は寂しかったよ、あの時は本当に辛かった。

あんなに寂しい思いする位なら、抱かない方がまだマシだったかなとか色々と頭グルグル。まあ今ではいい思い出だけどねえ、あの時はちょっとね・・・・。

2人とも真っ裸のまま眠っていたのだが、掛け布団と肉布団の相乗効果で暑い位だった。目が覚めたのは七時前くらいだが、三十分くらいはそのまま肌の感触と熱を楽しんでいた。

無防備であけすけな寝姿を見ても不思議とムラムラとはしてこない。昨夜あんなにやりまくったんだから、当たり前と言えば当たり前かも知れん。

七時半頃になって空腹に気付き、冬美を起こさないように気をつけて下に降りた。
冷蔵庫の中にはバナナと牛乳くらいしかないが、とりあえずそれを流し込んで胃に一息つかせた。

えっとそういえ冬美のバイクがそのままだったなと気付き、普段着兼作業着のディッキーズのワンピを着て外に出た。

さて車庫の中のバハを改めて点検する、ここまで走って帰ってきたのだから致命的なダメージは無い。

フォークのねじれは蹴飛ばして直せばいいが、ライトのステーの根元が曲がっているのはちと困りもの。

とりあえずライト周り全部外して骨だけにして・・・・・、とか考えているとジャージ姿の冬美が車庫にやってきた。

冬美『あーやっぱりここに居た、どこに行ったか心配しましたよ。』

俺『おうすまんな、ぐっすり寝てたから、起こすのかわいそうでよw』

冬美『起きたら1人で少し焦りましたけどねw・・・・バイク見てくれてるんですね、どうですか?』

俺『んー、まあ大体は大丈夫だけど、ライトのステーだけは直さないとダメだな、俺でよかったら直してやるぞ?』

冬美『え?いいんですか?、あたしとりあえずバイク屋さんに持っていこうと思ってたんですけど。』

俺『この程度で工賃払うの勿体ねーよ、俺がさくっと直してやるから、代金は体で払えww』

冬美『ちょwwwwしれっと恥ずかしい事言わないでYOwwww』

とりあえず冬美にハンドルを押えさせて、しっかり押えてろよと言いながら前輪を蹴り飛ばす俺。

戻り具合を何回か確認して、蹴飛ばすチカラに加減を加えていき、大体真っ直ぐになった辺りで俺が試運転。

うん、まー真っ直ぐ走るようになったな、これならとりあえずは大丈夫でしょ。

後はライトの骨だけどコレはチト面倒くさい、まずはライト周りを全てばらして骨組みだけにする。
曲がった骨組みを万力に挟み(夜逃げした前の住人が色々残してくれているので便利この上ないw)大人の工夫と力技で元に近い所まで直していき、大体真っ直ぐになったなと思った辺りで再び取り付ける。

とりあえずはコレで問題は無いだろうが、どうもタイヤの減り具合が気になる。
昨日も気付いてはいた、まあゆっくり走る分にはいいでしょと、そのまま行ったのだったが・・・・。

114:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:00:19.56 ID:/XjpOQEa0
冬美にそのことを言うと、少し考えてからタイヤを交換したいと言ってきた。それならばと俺が行っているバイク屋に電話を入れると、明日朝イチで頼めば昼過ぎにはタイヤが入ってくるとの事。

この店のオヤジはホンダ原理主義者の頑固者だが、整備の腕とサービスには全く不安が無い。
じゃあタイヤ交換のついでに、点検整備もしてもらった方がいいだろうということになり。なら今日のうちに預ければいいんじゃね?、じゃあお願いしてきましょうかとハナシが進む。

歩いていっても十分くらいの場所なので、そのまま2人でバイクを押して預けに行くことにした。
この時も俺と冬美とオヤジで、コーヒーを飲みながら色々と話し、気が付いたら昼近い時間だった。店を出てホテホテと歩いて家に戻る途中、今日はこれからどうすんべと言う話になった。

冬美『うーん、さすがにお腹空きましたねえ、おひる御飯どうしますか?』

俺『そーだなー、何か作るのも面倒だな・・・・・どっか食いに行くか?』

冬美『いいですねー、どこに行きますか?』

俺『折角だからバイクで出かけたいけど、お前のはアレだしな・・・・ローライダーでタンデムするか?』

冬美『え!いいんですか!?、はいはいはい乗ります乗ります!!!』

俺『おいおい、そんなに嬉しいのかよwwww』

冬美『もー・・・当たり前じゃないですか・・・・・www』

115:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:01:03.32 ID:/XjpOQEa0
帰ってから早速ローライダーを引っ張り出し、各々身支度を整えた。
俺は普段どおりのハレ珍フル装備だが、オフ車装備しかない冬美は真剣に悩んでいる模様ww少し考えてVFX-Rからバイザーを外して、ゴーグルの換わりに俺のサングラスをかける。
ローライダーにガエルネも少しばかり合わないので、多少大きめではあるが俺の登山靴を履かせた。足首の所を紐でしっかり縛ればそんなに不安定でもないし、身長も近いのでそんなに違和感も無かった。

最後にカソリタカシ色のジャケットを着込んで下はGパン、その姿は・・・やっぱり何だか変だぞ冬美wwww

とりあえず初タンデムのその足で昼飯に向かい、ボリュームたっぷりで繁盛しているトンカツ屋でお腹いっぱい。

折角バイクで出てきてこのまま帰るのも勿体ないと言う事で、そのままタンデムツーリングする事にした。
お気に入りの広域農道やバイパスをゆっくり流し、よさげな公園などを見つけて散歩したり。・・・人気が無い木陰とかで昨日の夜の残り火が、チロチロ燃え盛ったりもした訳だがwwww

秋晴れの空に、ローライダーで、タンデムシートには冬美、まー全体的に穏やかな秋の午後だった。

116:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:04:06.96 ID:/XjpOQEa0
ウチに帰ってきたのは夕方五時くらいだったかな、のんびり晩飯の支度して、飲みながらノンビリ喰って。

昨夜は閉め出しを食った所為か、何処と無く不機嫌そうなヌコも一緒に楽しく晩飯。さて晩飯も喰い終わり満腹になり、飲む酒の度数が段々強くなっていく。

食い始めたころはビール片手だったのが、食器を洗い終わる頃には2人ともバーボンになっていた。
近所の酒屋で一番安いローリングK、俺は生でチビチビ、冬美はポットのお湯でホットウィスキーだ。
この日の晩も飲むほどに話は弾み、どんどん酒精が体に心地よく染み込んで行く。

話題はいつの間にかバイクや旅の事から、互いの過去について深く突っ込んだモノになっていった。
実は初セクロスの昨日よりこの晩の会話の方が、はるかに強く印象に残っている。

俺たちがそう長くは一緒に居られない事、そして今度の別れこそ今生の別れになるだろうと言う事。はっきりとそれを思い知らされた夜だった、何ともまー長い夜でしたよ本当に・・・・・。

冬美『・・・・えーとそれで、あたしのお父さんは、あたしが中一の夏休みの時に突然入院したんですよ。』

俺『・・・・病気だったんだって?、まだ若かっただろうに気の毒だな・・・・・・』

冬美『えーと、まだ40代前半でしたね、享年42歳でした、何だか転移しまくってる悪性の末期ガンだったそうです。』

俺『そうか・・・若いとあっという間らしいしな・・・・』

冬美『ええ、良く聞く話ですけどね、もう完全に手遅れだったみたいで・・・・最後は多臓器不全だって・・・・』

俺『・・・・何と言ったらいいか・・・』

冬美『やさしいお父さんでした・・・・・』

・・・・・・ここからは殆ど冬美が1人で話し、俺はそれに耳を傾け、たまに相槌を打つ程度だった。

117:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:05:28.05 ID:/XjpOQEa0
以下暫らくは冬美の独白
お父さんは零細の社長さんだったんですけど、あたしが小さい頃はまだ大きめな別の会社で働いてたみたいです。
あたしが小学校に上がって直ぐ位だったかな、顔中で笑って、今日からお前は『しゃちょーれーじょー』だってwww
え、ああ、業種は重機のレンタル屋さんです、建設重機とオペレーターを一緒にレンタルするんですよ。
お父さんともう1人がオペレーターで、お母さんが色んな会社に電話で営業して仕事とって。
最初は大変だったみたいですね、新しいお客さんの仕事が全然取れなかったって。お父さんが前に居た会社で捌き切れない仕事を廻してもらって、やっと何とか凌いでいたみたいです。
それでも何年か頑張っていたら信用されるようになって来て、どんどん仕事も増えてきたって。もうオペレーター2人じゃ全然間に合わないくらい、すんごい忙しくなって来たそうです。

それでもう1人雇いたいなあって言う話になったそうなんですけど、なかなか条件に合う人が居なかったみたいで。
で、あたしが五年生の時だったんですけど、お父さんがウチにお相撲さんを連れてきたんですよ!

118:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:06:33.63 ID:/XjpOQEa0
お相撲さんといっても、もうケガで辞めて帰ってきてた人なんですけどね、もー大きくて大きくてビックリしましたよ。
その人は二十歳でまだまだ若くて、でも中学出てすぐお相撲さんになったから、世間の事何も知らなくて。
子供の頃から体が大きくて町一番の力持ちで、当たり前みたいにわんぱく相撲で大活躍して。
そのまま自然な流れで東京の部屋に入門したそうですけど、自分より大きくて強い人なんてゴロゴロいる世界で。
それでも歯を食いしばって頑張ってたらしいんですけど・・・・番付もなかなか上がらなかったそうです。

あるとき稽古で酷く腰を痛めちゃって、相撲はもう無理だって事になったらしいんです。辞めてきて暫らくは実家で静養してて、相撲は無理だけど他の事は大丈夫なくらいまで、やっと治して。

さあこれから人生どうするってなりますよね、当然、定時制の高校とか色々考えたらしいんですけど。
でも縁があってお父さんにどうですかと紹介されて、お父さんひと目で気に入っちゃったらしいんですよ。
それで見習いでお父さんの会社に入ったんですけど、まずはクルマの免許取らせる事から始まったみたいww

119:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:07:54.08 ID:/XjpOQEa0
ものすごーく大きい人なんですよ、背は190以上あるし体重も120キロとか言ってましたね。お父さんて小柄だったんですよね、160無かったくらいだと思います。
その大きいお兄ちゃんがお父さんに怒鳴り散らされて小さくなってwww、気の毒なくらいでしたよwww

そのお兄ちゃんも頑張りやさんで全然へこたれなくて、お父さんも好きだったから厳しくしてたんだと思います。

でも優しい人であたしの面倒もよく見てくれて、気は優しくて力持ちが服着て歩いてる感じで。だからお相撲さんには向いてなかったんでしょうね、入門先では毎日怖くて寂しくて辛かったって言ってました・・・・・。

よくウチに社員全員集めて晩御飯食べてましたね、全員ていっても家族プラス2人なんですけどwwwwそのお兄ちゃんがどうにか一人前の仕事が出来る様になって、現場に出れるようになった頃とほとんど同じ時期でしたね。

あ、はい、お父さんが入院した時期です、もう家族同様でしたからね、凄く落ち込んでました。お葬式の時は一番大きな声で泣いてましたよ、お父さんもコイツはウチの長男みたいなもんだとよく言ってましたし・・・・・。

120:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:08:57.54 ID:/XjpOQEa0
お父さんが死んじゃって、お母さんがガックリ来ちゃって・・・・・もう会社たたむ気だったみたいです。でもお兄ちゃんが絶対潰しちゃいけないって、この会社はお父さんの人生そのものなんだからって。
それ聞いてお母さんも気を持ち直したみたいで、お母さんが社長になって再出発する事になったんです。本当に頑張りましたよ、お母さんもお兄ちゃんも他の社員も。みんな亡くなったお父さんが大好きで・・・・・・。
あの頼りなかったお相撲のお兄ちゃんも、それからはお父さんが乗り移ったみたいになっちゃってwwwwでもあたしは普通に高校行って、バスケやって人並みに熱血スポ根少女でしたね。
小中高ってずっとバスケ一筋で、夢はNBAプレーヤーなんだけどアタシは女で・・・・。もー何で男に産んでくれなかったかなあ父さん母さんwww

121:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:09:44.90 ID:/XjpOQEa0
スラムダンクで好きなのは、えっと、流川とか仙道とかあの辺は苦手です、結婚するならメガネの小暮君かなw地味に頑張って頑張って、でもほんのちょっとの差がどうにもならなくて涙を飲んでる感じがいいんですよ!
えっとアタシの学校は県大会の予選で・・・・、十年近く経った今でも悔しいですね、マジで、夢に見ますよ。それから地元の短大に入って、卒業してから信用金庫に勤めて窓口に座ってて。
お母さんは本音では会社を手伝って貰いたいと、そう思ってたらしいんですけど。

でも零細企業をやりくりするのがどんなに大変か身に染みて判ってるから、娘にはこんな苦労させたくないって。あたしはそれに甘えて普通にOLして恋愛して、友達と海外旅行したり、その辺の普通の女でしたね、はい。

バイクの免許取ったのもこの頃です、ナースやってる友達から誘われて、何となくだったんですけど。
あのバハはその友達の彼氏から20万円で売ってもらったんです、乗れれば何でもいいやと思ったし。ちなみにFOXばかり着ているのもその友達の影響です、カップルでモトクロスやってて楽しそうで羨ましかった。

122:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:10:40.69 ID:/XjpOQEa0
でもそんな風にして何年か経って、何だか体調がおかしくなってきたんですよね。新しく赴任してきた支店長に嫌われちゃったみたいで、いや、何でか理由はわからないんですけど。

もしかしたら嫌われてたんじゃなくて、ただ単に厳しかっただけなのかも知れないですね。でもその支店長が来てから急に仕事が辛くなって、・・・・

まず最初は夜眠れなくなってきたんです。後はもうどんどん悪くなる一方でしたね、誰にも会いたくないし何処にも行きたくない。仕事も休みがちになっていったし、それでますます職場での立場が辛くなってきて。

見かねたお母さんがそっち系の病院に連れて行ってくれて、自律神経失調だとか言われました。

でも先生お母さんもはっきりとは言わなかったんだけど、あれってウツ病だったんじゃないかなと、今にして思えば。
でもとりあえず仕事休んでウチで静養して、ちゃんと薬飲んでたら三ヶ月ぐらいで元気になりました。仕事は病気で休職の扱いだったんですけど、もうとても行く気にならなくて、結局辞表出したんです。
今度はあたしが悩む番でした。さあどうするアタシ、これからどうやって生きていくんだ女一匹。

123:名も無きひじき774号+:2011/12/27(火) 09:10:57.23 ID:Lq4KLXQw0
譲二兄貴 乙です!
冬美さんが来る前から泊まりは2週間と決めてたんですか?

130:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:21:39.43 ID:/XjpOQEa0
>>123
いたけりゃ好きなだけいてもいーよって言っただけ
独身で1人暮らしだったし、こいつなら住み着かれてもいーやって思ってたし。

124:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:11:54.66 ID:/XjpOQEa0
仕事も探さず家でgdgdしてて、家事手伝いって言えば聞こえがイイですけどね、引きこもり見たいなモンでした。ある日の晩お母さんがアタシの部屋に来たんです、何だか改まった様子で。

『お母さんはお父さんの会社を受け継いで、お兄ちゃん達と一緒に今まで頑張って来た。』

『でもいつまで元気で働けるかわかったもんじゃない、母さんもう50代だよ・・・・・・。』

『出来ればお父さんとお母さんのたった一人の子であるあなたに、この会社を継いでもらいたい。』

本当にびっくりしましたね、自由にやっていい、好きなように生きろが口癖みたいだった人ですから。

更にビックリしたのは次の一言、『お兄ちゃんをウチの婿にして社長になってもらいたい。』

ウチの婿になるって事は、お兄ちゃんがアタシのだんなになるって事ですよね、当然。そんな事考えた事も無かった、この時点ではお兄ちゃんにもまだ何も言ってなかったそうだけど。
動転して混乱しましたね、その時は考えさせてくれって言うのが精一杯だったっす、はい。

125:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:13:06.21 ID:/XjpOQEa0
アタシの頭じゃいくら考えても判らないし、家に居るのも気まずくなって来て。ああそういやーアタシバイク持ってたんだった、そうだコレに乗って出かければ家に居なくて済むぞ!
それからまた例のナースの友達に声かけて、一緒にツーリングするようになって。泊まりのツーリングもするようになったし、キャンプも一回ではまっちゃってwww
それが今年の春先くらいの話なんですけど、はい、だからアタシまだ若葉マークみたいなもんで。
でもすっかりツーリングにはまっちゃって、どんどん遠くに行きたくなって来て、色々な所の景色が見たくなって。
どうしてもバイクで日本一周するんだって、そう強く思うようになったんです。思い立った時が始める時ですよね、バイクで旅しながらこれからの事を考えたいって切り出して。
お母さんにはそう言って説得しました、心配はしてましたけど、結局送り出してくれました。

旅の資金はいくらかあった貯金と、クルマを売ったお金を合わせたら結構な額になりましたんで。出発したのは六月の初めくらいでしたね、二ヶ月くらいかけて太平洋側を北上して。
女が1人で旅するって大変ですね、色々と、変なのは寄ってくるし、一応は怖い目にもあったし。

実際に酷い目にあった女の子が居るって話も聞きましたよ、まああたしはこんな大女だし今の所大丈夫ですけどw八月の頭くらいに青森から北海道に来て、お盆くらいに・・・・・ニセコで譲二さんに出会ったんです。

126:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:14:56.13 ID:/XjpOQEa0
えっとあの日の昼はですね、確か岩内とか余市とかあの辺ウロウロしてたんじゃなかったかな?

余市の駅近くの柿崎食堂って知ってますか?、知らない?、そうでしょうねwwそんな感じじゃないっすよねw
あたしあそこのゴハン大好きで何回も行ってたんですよ、譲二さんも機会あったら行って見るといいですよ。
あ、あとワイス温泉の前にある甘味屋さん?、で食べたカキ氷の上にソフト載ってるのも物凄く美味しかったですYO!美味しいもの食べていい気分で帰ってきたら、隣にテントが増えてましてね。

どんな人かなあ、女の子ならいいなあとか思ってたら、・・・出てきたのは譲二さんでしょwww

正直に言います、最初はドン引きでした、はい、小学生から逃げるアメリカザリガニみたいな感じでwww

だってあの人相風体で、ねえwwww、でも何だかいい顔で笑う人だなあって。

話してみたら楽しい人だったし、会話の端々に滲んでる東北弁も可愛かったしwww

え?、訛ってたかって?。いやー、文法は標準語なんですけど、発音が少しだけみちのくって感じだったかな?

それで前にも話したと思うんですけど、何だかお父さんに似てるなあこの人って感じて。はい、初対面からそんな感じでしたよw、押し強いし酒好きだし肉ばっかり食べてるしいきなり芋焼酎出てくるし。

127:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:16:08.30 ID:/XjpOQEa0
ありえませんよねえ、普通は逆(?)ですよねえ。東北の男のひとが北海道で、九州の女に芋焼酎振舞うとか、ねえ。

それで何だか嬉しくなっちゃって飲みすぎちゃって、その節は失礼しますたwww

次の日の朝はすごく・・・・・頭痛かったです、どう見ても飲みすぎです本当に(ry

でも起きたらいきなり出かける準備してたじゃないですか、しかもハーレーに乗ってるのに奥尻島逝くとかもうね。
道東とか道北とか行きますよね普通、何なんだろうこの人?。って、俄然興味が湧いてきたわけですよ。
アタシも一度は島に渡ってみたかったんですよね、利尻にでも行こうかなあって、ぼんやり思ってたんですけど。
でも結局殆ど悩まないで、次の日の奥尻行きフェリーに乗ってましたね、はい、何だかこのままにしたくなかったし。

不思議と色々話せるひとだなあって思ったし、何だか気になるふい(ryだったなあって。本当に居るかどうかは賭けだったですね、居たって会って話せるとは限らないし。
でもフェリー降りてその辺ウロウロしてたら、ものスゲー聞き覚えのある爆音が聞こえてきて。えーと、確か三拍子って言うんですよね?、アイドリングのあの変なバラバラ音。

128:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:17:00.75 ID:/XjpOQEa0
ドココッ、ドココッて、うるさいんだけど、何だか不思議と聞き入っちゃうw

はい、心臓が止まりそうでしたよ。もうこの土産物屋の店先から一歩も動けねえよって感じで。

どうしようどうしよ速くいや早く話しかけなきゃでもどうやって何てどんな顔でどんな声でフジコ

そうやってたら譲二さんの方から来てくれて、はい、助かりましたよwww

どうしようどうしようって思って、もし譲二さんが気付いてくれなかったらって思うと、ぞっとしますね。それからまた一緒にご飯作って食べて、一緒にお酒飲んで、楽しかったなあ、北海道で一番楽しかったです。
ウチに来てもいいって言ってくれた時は、キターーー;!!!!!!!、て感じでしたね、はい。

でもまた次の日の朝直ぐに別れなきゃならなくて、寂しかったなあ、あの時は。それから色々道内回って、ロングの人たちがいっぱい居るキャンプ場とかにも、行っては見たんですけど。
でも何だか馴染めなかったなあ、何日も同じキャンプ場で居るとか、アタシには絶対無理ですwww

129:譲二兄貴:2011/12/27(火) 09:17:47.62 ID:/XjpOQEa0
でも九月になった頃ふと気付いたんですけど、人生考える為の旅とか周りに言って出てきたんだなあって。
でも初めて長旅やってみて思ったんですけど、ウチ出る前や最初の頃は人生考えるとか自分探しとか。
そんなのとは、なんっか、違うような・・・・・、現にウチで考えてわからなかった事は、今でも全然わからないままだし。
このままおうちの都合で流されてもいいのかなあって、それとも違う新しい道と仕事を探すのが正解なのかな?

でもお兄ちゃんと結婚して、お父さんの後を継ぐとか、何だか現実味が無いんですよね。帰ってからの自分が全然想像できないと言うか、はい、もーどうすりゃいいのよお父さんて感じですよホント。

ここに来る前恐山で口寄せでもしてみっかなって、結構本気で思いましたwww

・・・・・・・ねえ、譲二さん、譲二さんは、あたしが、どうすればいいと思いますか?

132:名も無きひじき774号+:2011/12/27(火) 11:36:08.63 ID:WwF8RVxL0
“”(/へ\*)”))ウゥ、ヒック

136:名も無きひじき774号+:2011/12/27(火) 13:10:51.62 ID:TdmL+kHE0
>>132
泣くな
つ`・ω・)つガバァッ

133:名も無きひじき774号+:2011/12/27(火) 12:05:14.50 ID:KmLJAikR0
なんという……
リア充スグル…

135:名も無きひじき774号+:2011/12/27(火) 12:56:09.20 ID:MHPtHTkM0
譲二兄。。。
ハーレー乗りたい初心者な俺に、おすすめを教えてください

140:譲二兄貴:2011/12/27(火) 18:16:34.53 ID:HwbJlESD0
>>135
現行で好きな車種がいいかと
壊れないよ今のハーレー
贅沢にいい部品使ってるから

149:名も無きひじき774号+:2011/12/28(水) 09:49:57.72 ID:V1k2uxQX0
>>140
ありがと。883Nを狙います
譲二兄、続き待ってるよ

150:譲二兄貴:2011/12/28(水) 14:38:43.40 ID:u5s/qfWL0
>>149
安いからって理由でスポならやめとけ
ビッグツインが欲しくて死にそうになるのが落ちだぞ
どうしてもスポがいいんなら別だけど

152:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:24:54.30 ID:DK1TNxo90
ここから少し、冬美の独白に答える形で、当時の俺が考えていた事を書く。
その時気付いていた事と、今になってそうだったのかなと思い至った事もある。

それらはまあ、敢えて区別しないで書く。
その辺を上手く書き分けられるほど頭よくないしね、何せ高卒でハレ珍だしwww
話を聞いている内に、薄ぼんやりと感じていた事が、だんだん形を取ってきていた。俺が冬美に対して抱いていた感情と、冬美が俺に抱いていた感情とは、若干質が異なっていたのではないだろうか?

俺は冬美を女として好ましく感じ、男として惹かれている。

冬美は俺を男として好ましく感じ、女として惹かれている。

これは自惚れではなく、間違いのないことだったと思う。冬美は俺に亡くなった親父さんを重ねていたのだろうか。
酒好きで親分肌で愛娘に優しい、もう二度と会えない大好きな父親に。甘えたくても甘えられない父に、相談したくても出来ない記憶の中のお父さんに。
あの時の冬美は俺をお父さんに見立てて、救いを求めていたのではないだろうか。

153:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:26:29.07 ID:DK1TNxo90
中学に入ったばかりの時分に、突然大好きな父親と別れざるを得なかった冬美。どれほど心にダメージを負った事だろう。

能天気に生きてきた俺には想像も付かないような苦しみがあるのだろう。
三十路半ばの今になっても両親が健在な俺には、冬美の心の本当の所は永遠にわからないと思う。誰でもいつかは親と別れなければならない、生きている以上それは当たり前の事だ。
でも幼くして父を亡くした冬美は、普通なら父に相談したり頼ったりしてもいい部分。それを自分で決断し行わなければならないという思いが、ひとより強く有ったのではないだろうか。

あの時の冬美が人間的に欠落していたとは思えない、俺が見ていた限り、万事何でも自分で決めて動ける強い女だった。
救いを宗教だの何だのに求める程弱くも無い、が、実の所一人で迷わずぶれず生きていけるほど強くも無い。

でも1人で生きていかなくちゃならないから、1人でも生きていけるように強くならなくちゃ。バイクで日本一周をしようなんて思ったのは、その辺が深く関係していたのではないかと。
もちろんこれは俺の想像に過ぎない、幼くして父親を無くした女性が、皆みな旅に出るわけではあるまいし。

154:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:28:30.82 ID:DK1TNxo90
でもあの時の冬美は強くなるために旅に出たのだと思う、
家に居づらいとか、遠くに行きたいとかは後付の理由ではないだろうか。
適当に稼いで食っていくだけならば、ワザワザきつい長旅で自分を鍛える必要など無い。
冬美程の器量よしの美人なら、要領さえよければ相当の男の所に嫁に行き、何不自由なく暮らせるだろう。
では何故強くならなければならないのか、俺が今まで冬美と交わした会話や、読み取れる限りの表情の中から察する限り、それは一つしかない。

冬美はもうお兄ちゃんと結婚して会社を継ぐ事にしていたのだろう、でもまだ精神的な踏切りがつかない状態だった。正直に言うと、俺はもう冬美がここにずっと居るのではないかと思っていた。
俺のそばにずっと居てくれるんじゃないかと、甘ったるい事を考えていた。

155:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:35:35.77 ID:DK1TNxo90
でも冬美の心実の所はそうじゃなかった、冬美は強くなるための旅の途中で、目的に対するブレを矯正し、前に進む力を補強する為に来たのだ。
たぶん冬美にとって俺は、強くなるための旅の、途中の道しるべや一里塚、いや、駆け込み寺か、そのような存在。女が男に抱く自然な恋心を、それらを包む精神的なオブラートにしたのではないだろうか。

冬美はそれを使って、色々な気持ちを包み込み、自分でもそうとははっきりと気付かぬままここに持って来た。利用されたとか踏み台にされたとは、今も当時も全く思ていない。
ただこの子の苦しみを、自力で克服する手伝いをしてあげなきゃと。流れ者のガンマンが、ヒロインの暮らす町を悪党から救うあれ、あれだ、アメリカの西部劇の反対だ。
流れ者のガンマンならぬ機械メーカーのエンジニアの俺が住む町に、XRに跨ったヒロイン冬美が救ってくれとやって来たようなものだったのだろう。

156:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:35:58.15 ID:DK1TNxo90
ならば俺のやるべき事は一つしかない、
冬美の話を一字一句漏らさず聞いて、冬美のために話すこと。
その結果冬美はここを去ることになるのだが・・・・、
まあ元々旅の途中だから当たり前と言えば当たり前。
でも俺が自分の気持ちに忠実に行動したならば、
もしかしたら冬美は今でも俺の側に居たかもしれない。
もし俺が自分の思いや欲望に馬鹿正直で、自分勝手なDQN男だったら?
あれこれ悩まず押し倒して種付けしちまえとか、
そんな乱暴な事をしていたかも知れない。
でもその場合冬美は家を出て母と別れ故郷と別れ、
お父さんを慕い会社を守るお兄ちゃん達と会う事も無くなっていただろう。
そして冬美は一生お父さんと家族と、
お父さんを慕ってくれた社員に負い目を持って生きていく事になる。
そう思い至ってしまった俺にはもうとても、
ここに居てくれなんて言えたもんじゃなかった。

157:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:40:26.58 ID:DK1TNxo90
俺は冬美に向かって少しずつ、
言葉を選んで、ぼそぼそと話し始めた。
それが事実上の別れの言葉になるのだが、
どうしても言わなければならないことだった。
手の中のグラスの酒は飲み干されていたが、
もう注ぎ足そうとは思わなかった。
酒でも飲まなきゃ話せない話だが、
酒に飲まれていちゃあ話にならない。
体内を巡る酒精の調整が必要だった
、精神的な居住まいを正し、話し始めた。
・・・・・・・うーん、なあ冬美。
学校の勉強って何のためにすると思う?
授業で習った事が、実際の仕事や生活に役に立つ、
って実感する事って殆どねえよなあw
俺は工業高校の機械科卒で、
機械いじりする職業に就いたんだけどな。
それでも授業で習った事が、
実際の仕事で役に立った事って殆どないぞ。
一見役に立ちそうな、
旋盤やらフライスなんかの実習なんかも含めてな。
まあ機械や電気配線の図面を読めるくらいかな、
実際の現場で役に立ったのは。
学校で習う手動の旋盤やプレスなんて、
ごくごく一部でしか使われてないと思うぞ。
専門学校とか大学の専門学部とかはまた別なんだろうけど、
それは俺にはわからん話だから、ここはおいとかせてくれ。
これから話す事に直接関係あるわけでもないしな。
で、あの高校の三年間で習った事や、
やらかした事って、間接的に身になってると思うんだよな。
入学したら一方的にクラス分けされて、
いい奴も悪い奴も、変な奴とか面白い奴とか、いっぱい居てよ。

158:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:47:21.25 ID:DK1TNxo90
最初は隣の席の奴とかとボソボソ話してさ、
だんだん輪が広がっていって。
友達の友達が友達になって、
その内本当に気が合う友達が出来て。
一緒に遊びに行くようになって、
学校にナイショでつるんで原付の免許取りに行ったり。
おれ中学までは柔道やってて、
何となく高校でもやろうかなって一応入部したんだけど。
でもバイクに乗りたくてたまらなくて、
ま、オリンピックに出たいとか警察に入りたかった訳じゃないからな。
先輩と顧問にやる気と実力が、著しく欠けてたってのも一因だな。
マジかお前ら、何でそんなに弱いんだよorz
こんな環境ならもうやらなくてもいいかなって、
一年の夏休み前にやめちゃった、後はバイトに明け暮れる毎日よ。
二年の時にバイトで溜めた金で、
ふたりで同じNチビ買ってさ、ミニバイクレースに出たよ。
ガキだからトランポも無くてよ、朝早く自走でサーキット(笑)に着いて、
保安部品外してレースに出て。
今の旦那とデートついでに見に来た姉ちゃんが、
おにぎり差し入れてくれたり、同級生が応援しに来てくれたり。
帰りにはまたウインカーやら何やら付けて、
つなぎ着たまま自走して帰るんだぜww、馬鹿みたいだろ俺たち?
バリマシとかの記事を頼りにキャブばらしたりさ、
割れたカウルは裏からガムテープで補修して誤魔化して。
バリバリ伝説?もちろん全巻持ってますけど何か?
バイトとバイクに明け暮れて、きつかったけど
ガキだから体力無限でどうって事無かったな。
でも授業も真面目に受けて、テスト勉強してテストを受けて、
眠いのを我慢して勉強して、その苦労を繰り返して。
就職してレースからは自然に離れていったんだけど、
あの時の苦労ってさ、絶対に今の俺の基本になってると思うんだよね。

159:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:48:41.45 ID:DK1TNxo90
一緒にレース出てたダチは何故か鈴菌の工場に就職して、
離れ離れになっちゃったけど、今でも連絡を取り合ってる。
そいつが帰省する正月は欠かさず一緒に酒呑んでさ、
昔話で盛り上がるのが年に一度の楽しみでな。
この前飲んだときは、譲二テメーガラクタハレなんざ買う金あったら、
日本の誇りの、世界最速のハヤブサ買えゴルアって怒られたwww
まあそいつもわかって言ってんだけどな、
何に乗ろうが本人の自由で、趣味のバイクに貴賎なんて無いって事。
まあそれでここからが本題っていうか、
お前は今、バイクで日本中を旅してるだろ?
基本的にツーリングって楽しい事なんだけどな、
はじめて見る景色に初めて喰う料理。
初めて走る道に初めて会う奴、初めて・・・まあこれくらいにしとくかww
端から見るとお気楽だけどよ、
まー、実際走ってると楽しい事ばかりじゃないよな。
雨降れば冷たいし、日が暮れれば寒い、日が照れば暑いし。
泊りがキャンプなら尚更、テントは狭くて暑苦しいし、
蚊だのブヨだのが入ってきたら最悪だべ?
まかり間違ってシュラフを雨で濡らしたりした日にゃあ・・・・・orz

160:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:51:19.53 ID:DK1TNxo90
会う奴会う奴善人ばかりって訳じゃねーし、
セコくてずるくて鬱陶しいライハのヌシみてえな連中だっている。
それにお前は若くて見栄えのいい女だから、
俺には縁のねえトラブルや危険がいっぱいあっただろ?
でもお前はそれに懲りて家に逃げ帰ったりしないで、
こんな所で俺と酒飲んでケラケラ笑ってるwww
月並みな言い方だけどな、お仕着せの旅行じゃない旅って人を鍛えると思うんだよ。
しかもただ鍛えられただけじゃなく
色んな奴に出会って、ああ、特に俺みたいな変な男とかになwww
まあそれでだ、カネは掛かるけど、カネじゃあ買えねえモノ、
思い出とか言う奴がたっぷりと脳みそに残る。
ちょっと話がずれるけどな、
ナースログって言葉がアメリカだかカナダだかにあるんだと。
ちょっと有名な釣り好きの作家が書いた、
アラスカでサケ釣る話しの中にあったクダリなんだけどな。
えっとたしか、まず寿命が来た大木が風でドカンと倒れるとだな、
倒れた木を細菌とかバクテリアみてえなもんが分解し始めるわけだ。
腐り始めた木の栄養を目当てにアリやなんかの虫が集まって、
その虫を食いに小鳥やねずみなんかが来て。
その鳥やねずみを食いにタカやワシやクマーとかが来て
、食物連鎖って奴がそこに起こって。

161:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:52:49.62 ID:DK1TNxo90
倒れた木はただ腐っていくように見えて、
実は森の生態系を守る役割を果たしてる、って言う考え方らしい。
森を守る、看護する木、だからナースログ、って事らしい。
んでこれを人間に当て嵌めるとだな、
とにかく端から見ると無駄としか思えねー事ってあるだろ?
旅に出るにでもサケ釣りでも何でもいい、
日々の仕事じゃない、ただ自分が楽しむ為だけの面倒事な。
でもそれって無駄じゃないんだよな、仕事でちょっと余裕が出た時とか、
どっかに出かけてるときとか、夜寝る前とか。
ふと思い出して楽しかった事を反芻するよな、
それを思い出しただけで何だか楽しい気分になって。
死ぬまでに何回も、何十回も、何千回も、何万回も、何十万回も、
思い出すんだよ、そのときの事を。
きつい時とか疲れたときとか、ムカつく時とか寂しい時とかにな、
それを思うと少し気が楽になるんだよ。
そーいうマイナスの感情を抑えられる思い出があるって事はだ、
これすなわち心の強さ、って事にならないか?

162:譲二兄貴:2011/12/28(水) 15:54:42.79 ID:DK1TNxo90
まあそれでだ、このまま旅を続けて強くなって、
実家に無事帰ってきたお前ならな。
旅の前は尻尾巻いて逃げてちまった事にも
、落ち着いて対処出来るんじゃないか?
会社を継ぐも継がないも、結婚するもしないも、
はっきりと意思表示できるんじゃないか?・・・・・・
・・・・・ああ、ついに言っちまった、
あーやっぱり押し倒して中出し・・・・・もう遅いか・・・・・・。
これじゃあ冬美に帰って家を継げって、
クドクド説教してるようなモンじゃねえか・・・・・。
冬美の手に握られたグラスもとうの昔に空になっていたが、
ここまで注ぎ足そうとする素振りも見せなかった。
俺が真剣に話したから、真剣に聞いてくれたのだろう、
・・・・・・・・・・何ていい女なんだ!!!!!!!
会話が切れて一分ほど経ってから、
促して冬美の手からグラスを受け取り、ホットウィスキーを作って手渡した。
自分のグラスにもドボドボとバーボンを注ぎ、
喉を通りやすいようにロックにする。
その後は打って変わって下らない事ばかり話しながら、
ゲラゲラ笑って気が付いたら午前三時だった。
この夜は2人でバーボンを1本半消費し、
朝五時近くになってから2人で仲良く居間で潰れた。
かろうじて持ってきた毛布を一枚ずつ被って雑魚寝し、
俺はこの月曜、入社以来始めて会社をずる休みした。

165:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:07:41.10 ID:DK1TNxo90
バーボン1本分の二日酔いにかろうじて打ち勝ち、
朝八時半前に会社に休む旨の電話を入れることが出来た。
どうしても体調が悪くてすいませんと上司に平謝りし、
電話を切った瞬間再び落ちてしまった・・・。
次に目が覚めたのは昼十二時過ぎだった、
ソファの上では冬美がまだうつ伏せになって寝ている。
まあ2人で安バーボン2本近く空けたからな・・・、このくらいは仕方ないだろう。
少しすると冬美ももぞもぞと起きだして来たが、流石にしんどそうだ。
結局ズル休みしてしまった格好なので、
大っぴらに外に出歩くのもはばかられる。
この辺は妙に小心なんだよなあ俺って、
多分厳しく鍛えられた柔道時代の影響だと思うんだけど。
同じく根が体育会系の冬美もその辺は心得ているのか、
どこに行きたいとか何を食べたいとかは何も言わなかった。
んー、昼間は何をしていたんだったかなあ、
前の晩の会話のインパクトが強すぎてあんまり憶えてないや。
夕方近くになってやっと物を食いたいような気分になって来たので、
あっさりしたソバかなんかで夕食を済ませた。
流石にこの晩は2人ともノンアルコール、じっくり、ゆっくり、のんびりと時間を過ごした。

166:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:09:24.51 ID:DK1TNxo90
十一時くらいまでとりとめない会話を交わし、
2人で俺の部屋の同じベッドに寝た。
一応お休みのキスくらいはしたが、
それ以上の事はしなかった。
どちらかが求めれば、どちらかがそんな素振りを見せれば、
多分すぐにセックスが始まっていただろう。
でも2人とももう、その週末の別れの日まで、
お互いの体を求めるような事はしなかった。
もちろん健康な成人男子の俺にとって正直苦しくはあった、
若くて健康な冬美だって同じようなモノだったかもしれない。
でももう2人の間には暗黙の了解と言うか、
お互いの心身ともに別れの準備をし始めている空気が流れていた。
間近に迫った別れ、恐らくは今生の別れに備え
、お互いに心を強くしなければならない。
男と女が求め合って体を重ねれば、
そこには情という至極厄介な奴が生まれる。
生まれた情はただでさえ辛い別れを、
更に苦しく悲しいものにしてしまうだろう。
ろくに眠れずに悶々としながら朝を迎えてしまい、
朝方になってようやくウトウトすることができた。
気が付くと隣に冬美は居らず、
いつの間にか台所で朝飯を準備をしてくれていた。
その朝飯をぺろりと平らげて
俺の好みの濃さに淹れてくれたコーヒーを飲んで会社に行った。
会社に向かう1BOXの中でいつものメロコアを流しながら、
幸せってこんなもんなんだろうなとか。

167:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:11:21.84 ID:DK1TNxo90
昨日突然休んでしまった事を上司と同僚に平謝りし、その日は現場で一日汗をかいて働いた。定時の五時はあっという間に過ぎたが、現場は片付いても事務所に残ってやるべき事が色々あった
。五時半くらいに休憩所でコーヒーを飲みながら冬美に電話し、遅くなる旨を伝えた。
俺『・・・・ってな訳でな、ちょっと遅くなりそうなんだわ、晩飯は適当に済ませといてくれ』

冬美『いやー、ちょっと位遅くても大丈夫ですよ、待ってますから。』

俺『いや、早くても九時くらいだぞ、多分、いいから先に食っててくれ』

冬美『わかりました、じゃあ無理しないで食べて待ってますね、・・・・譲二さん?』

俺『ん?どうした?』

冬美『残業、頑張って下さいね!』

俺『おう!ありがとな!じゃあ頑張ってくるわ!』

電話を切って周りを見ると同僚達がニヤニヤしている、あちゃー、顔に出てたかorz
照れ隠しに紙コップに残ったコーヒーを一息に飲み干し、勢い良くゴミ箱に叩き込んで事務所に戻った。
その勢いもあってか普段より随分と早く仕事が進み、予想よりずっと早く八時半くらいには会社を出ることが出来た。うーん、女の力って偉大だなあ、出来た女の励ましって、本当に力になるんだなあ。
これが話に聞く内助の功って奴なのかなあ、冬美がこのままうちに居てくれたらなあ・・・・

と、妄想のような繰言の様な、未練がましくみっともない事を考えずには、吉岡秀隆のナレーションを流さなければ居られない訳で。
九時前にはうちに着き、玄関を開けるといきなり鼻にカレーの匂いが充満した。ドアの音で気付いた冬美が玄関に現れ、満面の笑みでお帰りなさいと言って出迎えてくれた。

168:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:12:47.15 ID:DK1TNxo90
冬美『お帰りなさい譲二さん、九時くらいに帰ってくるって踏んで、それに合わせてカレー作ってましたw』

俺『早くても九時って言ってたろーよ、じゃあ食わないで待ってたのか?』

冬美『はい、もうお腹ペコペコッす!、早く食べましょうよ!』

俺『おうwww、じゃあ今着替えてくるから、五分だけ待ってれ』

冬美『はーい、じゃあすぐ食べられるようにしておきますね!』

仕事着から普段着のジャージ上下に着替え、洗面所で手と顔を洗ってからテーブルに向かった。
テーブル上にはすでに2人分のカレーとサラダが並べられ、後はグラスに好みの飲み物を注ぐだけだ。
俺は冷蔵庫から黒ラベルの大瓶を取り出し、目で聞いてから冬美のグラスにビールを注いだ。ビンを受け取りたいような素振りをした冬実を軽い手振りで制して、自分のグラスにもビールを満たした。
それは俺が初めて知る、2人の力で作り上げる、自分の家庭の味だったのかもしれない。
子供が出来る前の夫婦2人だけの家庭って、こんなんなのかなあって、新鮮な感じだった。もちろんこれは期間限定、もう数日だけの、夫婦ごっこのようなものだったのだが。

だからこそあの秋二人で過ごした二週間は、強烈な記憶となっているのだろう。

169:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:14:33.46 ID:DK1TNxo90
その次の日の晩、軽く残業して帰ってきて、晩飯を食って、2人で床に着いた後の事だった。
電気を消してもうお休みと言ってから、五分くらいだっただろうか。

冬美がもぞもぞと動いき、小さな声で話しかけてきた。
冬美『・・・・ねえ、譲二さん、まだ起きてる?』

俺『ん、ああ、まだ起きてるぞ、・・・・どうした?』

冬美『・・・・あのね、私ここに来て、今週末で半月になるんです。』

俺『ああ、そうだな、そう言えばそうだな・・・・』

冬美『それでね、譲二さんは楽しいし、お姉さんは優しいし、旦那さんも甥っ子君もみんな・・・・』

俺『・・・・・みんな・・・・それで?』

冬美『・・・・・みんな、いい人たちで・・・・あたし・・・・一生忘れないと思います。』

俺『・・・・・・そうか、ありがとな』

冬美『・・・・今週末の日曜の朝、出発しようと思います、バハも調子よくなって戻ってきたし・・・』

俺『・・・・そうか、あっという間だったな・・・・』

冬美『あたしね、ここにこれ以上居るとね、もうウチに帰れなくなっちゃうと思うの』

俺『・・・・・・・・・』

冬美『この先あたしがどうするか、まだわからないけど、それでも一度はウチに帰らなきゃ・・・・』

俺『そうだな・・・・お母さんも心配して待ってるだろうしな・・・、・・・・・。』

その時俺はお母さんの後に『お兄ちゃんも』と、付け加える事が出来なかった。全く未熟モンだったなとは思うが、それまでの夏の北海道での出会いと、秋の再会って経緯。
まだまだ若造であった二十代半ばの当時を考えると、ま、仕方なかったかなとも思う。

冬美『ねえ譲二さん、あたし、最後に譲二さんと一緒に走りたいな、途中まで見送ってくれます?』

俺『ああ、もちろん、とっておきのいい道を案内してやるよ、楽しみにしてな・・・・』

そして次の日曜には間違いなく冬美との別れがやってくる、うつ伏せで寝ながら声で笑って顔と心で泣いて。その割にはあっさりと眠って朝までぐっすりだった、ある意味で安心してしまったって事だったのかなあ。

170:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:16:39.96 ID:DK1TNxo90
・・・・そしてもうあっという間にお別れの朝になる、お互いの身支度はもう出来ていて、後はもう出発するだけだ。
日本一周分の荷物は頑丈なバハの頑丈なキャリアにがっちり固定され、元の過積載旅人仕様に戻っていた。

もう十月も半ばを過ぎて、ここは東北の地方都市、2人の服装はすっかり冬仕様だ。見送りは姉一家全員とぬこ一匹、姉はアレをもっていけ、これを食べなさいと色々と持ってきていた。
でも大量のジャガイモとか一升瓶の地酒とかよwwww、バイクなんだから無理だってwww

冬美は苦笑しながらも何度も礼を言って、お昼ゴハンにと作ってきたオムスビだけを受け取ってサイドバッグに入れた。
姉ちゃんは冬美の手を握って何度も何度も、気をつけて気を付けてと繰り返していた。甥っ子は姉旦那に抱っこされて今にも泣きそうな顔だ、毎日のように冬美に遊んでもらっていたからな・・・。・・
この場面を詳しく書いてると大菩薩グイン峠サーガになるのでこの辺で、俺はドジェベルに跨り、九時きっかりに冬美を促して出発した。

171:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:17:49.24 ID:DK1TNxo90
俺が目で合図すると冬美が軽く頷く、
俺から一呼吸遅らせて淡々と着いてくる冬美。
お互いを知り尽くして息が合った長年の連れのように、
片時もミラーの中から離れず離さず。
一旦国道に出てからバイパスに入り、
交通量が少なく走りやすい広域農道にバイクを進める。
みんなが大好きなツーリングマップルには、
まあ、載らないでしょって、しょぼい道だけど。
それでも長年走りまくって知り尽くした地元だ、
カーブの向こうの田園風景とか、真っ盛りの紅葉とか。
後ろを走る冬美の為に心を込めて、
前を走る俺の姿と一緒に思い出になってくれと願いながら。
道路の真ん中に突然現れる図々しいカモシカに興奮したり、
道端の湧き水の綺麗さに感動したり。
そんな風にして少しずつバイクは俺の家を離れて行き、
その代りに冬美の故郷に近づいていった。
特に観光なんかはしなかったし、名物の美味い物も食わなかった、
そんな事より少しでも一緒に走って居たかった。

172:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:19:03.65 ID:DK1TNxo90
山の中を縫うように走り日本海が見えてきた、
時間は昼の一時過ぎくらいだった。
昼食のお握りを食べる為に、
季節外れの海水浴場に入り込む。
もちろん海水浴客は居ないが、
波が有ったので数人のサーファー達が海に出ている。
連中のハイエースやピックアップから暫らく離した位置にバイクを止め、
護岸のコンクリの上に並んで腰掛けた。
ここに来る前に寄ったコンビニで買った熱いお茶を取り出し、
姉ちゃんのおにぎりを2人で分けて食べた。
大き目のおにぎりが6個もあったので、
2人で2個ずつ食べて、残り2個は冬美がバッグに仕舞い込んだ。
俺はバッグから愛用のテルモスを取り出し、
今まで何度もそうしたように冬美とコーヒーを飲んだ。
俺はテルモスの蓋で、冬美はコールマンのステンレスマグで、
並んで海を見ながらコーヒーを啜った。

173:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:20:04.87 ID:DK1TNxo90
冬美『寒いのに、よく頑張りますね・・・・』

俺『ん?何が?』

冬美『いや、あの、サーフィンやってる人たち』

俺『ああ、アレって結構寒くないらしいぞ、海に入ってる分には、厚手のウェットスーツ着てるから』

冬美『ふーん・・・・でも凄いですよね、いくら暖かくっても、海ですよwww』

俺『そうだな、でも寒そうだけど楽しそうだよな・・・・』

冬美『帰ったらやってみようかなあ・・・・、地元の友達でやってる子多いんですよ。』

俺『そうだな、九州ならここよりは暖かいだろうしな、何でもやってみればいいよ』

冬美『そうですね、何でもやってみなくちゃ、・・・でもその前に・・・』

俺『・・・・その前に?』

冬美『うちに、帰らなきゃ・・・・』

俺『そうか・・・・・・そうだな。』

冬美『もう、真っ直ぐウチに帰りますよ、最短距離で、昼は走って、都合が合えば夜はフェリーで距離稼いで。』

俺『え・・・折角の日本一周なのに、勿体無くないか?、時間だって、まだあるんだろう?』

冬美『そうなんですけどね・・・・・、もう、この旅って、終わったような気がしてるんですよ』

俺『・・・・・・・・・?』

冬美『北海道で譲二さんと会えて、ここで一緒に居られて、色々話できて、もう、それだけでお腹いっぱい。』

俺『・・・・そうか、・・・・・俺も、楽しかった、有難う、冬美。』

冬美『・・・・有難う、譲二さん・・・・・』

174:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:21:06.12 ID:DK1TNxo90
それから暫らくの間とりとめの無い会話を交わし、気が付いたら午後三時になろうとしていた。冬美の今晩の宿は昨日の夜マップルで見つけた星印、100キロほど先にある町の健康ランドだ。
秋の日の入りと気温を考えると、もういい加減に出ないとまずい時間だ・・・・。

冬美『・・・もう、行かなきゃ・・・・・』

俺『ああ、日が落ちてから走ってたら寒さで死ぬからな、・・・気をつけてな・・・・』

冬美『はい、譲二さんも安全運転で、元気で居てくださいね・・・・』

俺『ああ、・・・・じゃあ行くか?』

冬美『・・・・はい、でも、その前に・・・・ちょっと譲二さんのヘルメット見せてもらえますか?』

俺『・・・・・・いいけど、何だ・・・・?』

冬美『ちょっと待ってくださいね、・・・イイ事思いついたんですwww』

偶然だが同じメーカーの同じモデルのオフメット、違うのは帽体のサイズだけだ。冬美は慣れた手つきでまずは自分のメットのバイザーを取り外し、次に俺のメットからもバイザーを取り外す。
ふたつ取り外して両手にとって見比べてから、今度は俺のメットに自分のバイザーを取り付け始めた。俺はここで冬美が何をしているのかやっと気付いた、なんとお互いのヘルメットのバイザーを交換しようと言うのだ。

だが俺のは最初から着いてる純正、冬美のは明らかに後付の高価な銀メッキバイザーだ。

175:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:22:03.62 ID:DK1TNxo90
冬美『・・・・これで、よしっとwww、バイザー交換終了っす!』

俺『いや別に構わんけどな、お前のそれって、後付の奴だろ、いいのか?』

冬美『え?、そうなんですか?、友達の彼氏からバイク買った時、おまけに貰っただけなんですけど』

俺『買えば五千円くらいはするよ、それにメットに貼ってるステッカーキットだって大した値段だぞ』

冬美『え・・・・コレも後付なんですか?、最初からこんなで売ってると思ってました。』

冬美のメット全体にセンスよく貼られている、火の玉の様な模様のステッカー。どうも冬美の友達の彼氏とやらはナカナカにいいセンスをしている様で、黒地のメットに赤の火の玉がとても良く映えている。
明らかにトロイリーデザインズの本物で、それもキットで五千円位はするであろう高級品だ。

冬美『そんな高級品だったんですか・・・・・・・、でもコレ・・・・・譲二さんに付けてもらいたいんです。』

俺『・・・・・うん、分かった、有難う、大事にするよ。』

冬美『はい、あたしも、大事にしますね・・・・・』

176:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:28:57.80 ID:DK1TNxo90
ここでもう、本当に出発するしかやることがなくなった・・・・・。
2台並んだバイクの間に立ち、お互いの愛車を背にした格好で向かい合う。
キーを差し込んで、・・・・チョークを引いてセルを回して・・・・・。
その簡単な動作が、どうしても出来なかった。
どちらからとも無く、にじり寄り、・・・・抱き合った。
俺は遂に我慢できずに泣いていた、冬美も泣いていた・・・・・。
強く抱き締めあい、むしゃぶりつく様にキスをした。
サーファー達から丸見えの位置だったが、
そんな事は一切気にしなかった、気付かなかった・・・。
涙だか鼻水だか唾液だか、
しょっぱいんだか甘いんだか舌何だか唇何だか。
もう何でも良かった、汚いとか恥ずかしいとか、
一切感じなかった。
そうしていたのは五分くらいだったと思う、
やはりどちらからともなく体を離し、最後の指先が離れた。
真っ赤になった目をこすり、じゃくり上げてごまかして。
ゆっくりと、でもしっかりとした動作でヘルメットを被り、
ゴーグルをあわせ、アゴ紐をしっかりと締め、グローブを身に付ける。
バイクに跨り、チョークを引き、エンジンをかけ、お互いが帰る家に向かって。
海水浴場に繋がる砂まみれの小道を2速で登り、
国道の前の赤信号で並んで停まる。
信号が青になり、俺たちは見つめ合って、
最後にゴーグル越しに、にっこりと笑いあう。
同時に2人の最後のクラッチを繋ぎ、
俺は左に、冬美は右に。俺は北に、冬美は南に。
お互いのバイクが走る速度と、
同じだけの勢いで俺たちの距離は遠ざかり、
そしてもう、二度と会うことはないのだろう。
夏のニセコのあの日、あのテントの横から始まった俺の旅が、この時本当に終わった。
生涯忘れる事のない女との、もう二度とない最高の旅だった。
おわり

177:名も無きひじき774号+:2011/12/28(水) 16:31:37.67 ID:YxsJuCs20
乙…
なんともいえんが…うん
感動した
183:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:55:19.52 ID:DK1TNxo90
>>177
読んでくれてサンキュ
俺はハッピーエンドだと思ってるよ

180:名も無きひじき774号+:2011/12/28(水) 16:46:30.94 ID:iruYFKNa0
冬美さんは、戻ってこなかったんだね~
今の嫁さんの話しが聞きたい。

182:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:52:45.67 ID:DK1TNxo90
>>180
いまの嫁さんの話はちょっとかんべんな
お互いに結婚して子供居て幸せにやってるってことだけ

181:名も無きひじき774号+:2011/12/28(水) 16:47:52.15 ID:gMGove6+O
フィクションですか?

182:譲二兄貴:2011/12/28(水) 16:52:45.67 ID:DK1TNxo90
>>181
特定防ぐ為にあちこに細工はしてるけど
大筋は本当にあったはなし
事実を基にしたフィクションだと思ってくれ

189:名も無きひじき774号+:2011/12/28(水) 17:20:55.01 ID:EQ1CYH/x0
泣けた!いい話ですね。
その後は冬美さんとは連絡は取り合ってたのですか?

191:譲二兄貴:2011/12/28(水) 17:34:00.72 ID:DK1TNxo90
>>189
たまにメールしたり電話したり、
お互い結婚してからは年賀状程度かな。
今は冬美もハーレーに乗ってるそうだ。

 

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